首都近郊に巨大展示場 MICE客数3倍に バンテン州スルポン来年まで完成予定  

 ジャカルタなど主要都市にMICE(国際会議や企業研修、国際展示会など)を呼び込もうと、政府は5年で客数3倍増の目標を掲げ動き出した。来年には東京ドームを超える建築面積5万平方メートルのホールを備える大型国際展示場がバンテン州スルポンに完成する見通しで、近隣諸国に水をあけられている現状を巻き返す。

 ジャカルタで国際的な展示会や見本市を開催できる会場は現在、中央ジャカルタ・スナヤンのジャカルタ・コンベンション・センター(JCC)と同・クマヨランの国際展示場(JIExpo)の2カ所のみだが、バンテン州スルポンではインドネシア・コンベンション・エキシビジョン(ICE)の建設が進められている。
 22万平方メートルの敷地に、各5万平方メートルのホールや屋外展示場などを備える大型展示場で、来年までに完成する見通し。見本市の会場運営などを国際的に手がけるドイツメッセが、シナルマスグループやコンパスグラメディアグループと設立した合弁会社を通じて管理運営する。
 スラバヤでは2008年にグラメディア・エキスポがオープン。バリ島ヌサドゥアには11年に国際コンベンションセンターが完成し、アジア太平洋経済協力会議(APEC)、バリ民主主義フォーラムなどの国際会議に利用されている。
 マリ観光創造経済相は、19年までにMICE客数を現在の3倍に増やすとの目標を掲げる。現在、政府が策定している15〜19年の国家中期開発計画(RPJMN)にも数値目標を盛り込むものとみられる。同相はMICE招致を促進する都市としてジャカルタやバリなど全国16都市を挙げ、交通機関などの整備に力を入れる方針だ。
 観光創造経済省によると、13年の外国人観光客数880万人のうち、MICE客数は3%前後を占めるにとどまった。近年、外国人観光客数は順調な伸びを示しており、14年には950万人(13年比70万人増)に達すると予測されているが、MICE客数は足踏み状態だ。中央統計局(BPS)の資料によれば、08〜11年に3.06〜3.37%の間で推移し、12年には2.10%まで落ち込んだ。
 国際会議協会(ICCA=本部アムステルダム)が13年に実施した国際会議開催件数の調査によると、インドネシアはアジア・太平洋地域で10位(106件)だった。同地域の1位は日本(342件=世界で7位)で、東南アジアの国では5位にシンガポール(175件=世界で21位)、7位にタイ(136件)9位にマレーシア(117件)が入った。
 ただ、都市別にみると、ジャカルタ(29件)はシンガポールやバンコク(93件)、東京(79件)、クアラルンプール(68件)に大きく引き離された。国内ではバリ(55件)での開催が最も多かった。(田村隼哉)

◇ MICE(マイス) 国際会議や企業研修、国際展示会などの催しの総称。一般的な観光と区別される場合が多く▽商談や技術革新▽地域への経済効果▽国や年の競争力向上に結びつく―として注目を集めている。日本の国土交通省観光庁は1万人規模の国際会議を開催した場合、約39億円の経済波及効果が生まれると推計する。MICEはミーティング、インセンティブ、コンベンション、エキシビジョンの頭文字をつなげたもの。

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