抑制可能か疑問多く 補助金付き燃料一部停止 急な政策に混乱も

 一連の一部地域やガソリンスタンドで補助金付き燃料廃止が6日、高速道路での補助金付きレギュラーガソリン「プレミウム」販売停止で出そろった。膨れ上がる燃料消費を抑え、今後補助金を削減するためのステップでもあるが、制限は限定的なことから実際に抑制できるかは疑問符がつく。急な政策発表と実施に対して混乱の声も出ている。                 

 1日から始まった一連の補助金廃止政策は高速での「プレミウム」販売停止に加え、(1)中央ジャカルタの26ガソリンスタンドで補助金付き軽油(ディーゼル燃料=ソラール)の販売を全面的に停止(2)ジャワ島とスマトラ島、カリマンタン島、バリ島にある4750のガソリンスタンドのうち12%で軽油の販売時間を午前8時から午後6時に制限(3)30トン以上の漁船への補助金付き軽油の販売停止―の四つ。
 「庶民にも産業にも特に影響はない」。コランテンポ電子版は6日、一連の補助金廃止についてこう報じた。
 高速に乗る前や下りた後には補助金付き燃料の利用が可能で、走行するトラックの多くは対象外の軽油で走る。中央ジャカルタでの販売停止に対しては他のガソリンスタンドで給油すれば補助金を使える。時間制限も工業団地や港湾近くなど停止地域が限定的な上、給油車両の少ない夜の制限となっており、政策実施の効果が出るかどうかは不透明なままとなっている。
 首都圈に倉庫を持つ日系物流会社は「影響はさほどない」との見解を示した。
 エネルギー鉱物資源省の試算では、販売を制限しなければ、補助金付き燃料消費は4734万キロリットルとなり、今年予算の割当量4600万キロリットルを上回る。
 もし割当分が無くなり全土で販売停止になれば大きな混乱を招くため一部で販売停止に踏み切った。最優先課題である燃料補助金問題で成果を残したいが、影響を最少限にして反対運動が過熱しないようとする現政権の配慮がうかがえる。
 燃料補助金は「財政負担」「自動車やバイクを持つ中間層以上のみに恩恵が偏る」「インフラなど投資に予算を割くべき」などの理由から廃止が叫ばれてきた。一方でスハルト政権時代から安価な燃料を享受してきた市民からは廃止への反対が強い。
 運輸省は公共交通機関運営者に急な値上げをしないよう指導。ジェロ・エネ鉱相も「補助金の一部廃止は年内だけ」と強調し、懸念払拭に努めている。
 陸上運輸組合(オルガンダ)のアンドリアンシャ事務局長は、バスやトラックの運行費用が6〜7割上昇する可能性があると指摘するなど、物流業界の代表は反対の姿勢を示している。
 カディン(商工会議所)のナスチル・マンシュール貿易・流通・物流部会長は経済界との調整がないまま施行した補助金停止について反対を表明。政策を廃止して、経済界と一緒に解決策を探すべきだと主張した。別の日系物流会社社長は「政策が急すぎる」と不満を露わにした。(堀之内健史)

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