流入者にKTP調査を 雇用悪化を懸念 西ジャワ州ブカシ県
西ジャワ州ブカシ県の住民・民事登録局は2日、レバラン(断食月明け大祭)後から9月初旬にかけて県内に流入者が増加すると警戒し、県内の企業や工業団地に対して新規雇用者の住民登録証(KTP)を調査するよう命じた。
同局ハニフ・ズルキフリ部長は同日、「企業は県内在住の人を優先的に雇用すべき」と話し、地方からの流入者増加で雇用が奪われ、住民の失業率が増加することを懸念していると説明した。
同部長は県内の企業だけでなく、賃貸住宅の管理者などにも流入者のKTPを調査するよう指示。さらに流入者に対しては到着後24時間以内にRT(隣組)・RW(町内会)に報告をすることを義務づけた。同局アレクサンダー・ズルカルナイン局長は「誰も流入者を禁止することはできない。(流入者には)正規手続きを踏んでほしい」と訴えた。
流入者は新しいKTPの発行のために出身地から移住申請書など必要書類を同局に提出する必要がある。同部長は流入者増加で窓口が混雑することも念頭に置き、事前に出身地で書類を用意するよう求めた。
同県は産業・工業地帯として知られており、仕事を求めて来る人が多い。人口は2011年から13年までの3年間で40万人以上増加し、330万人になった。その7割が地方からの流入者だという。特に工業団地が多い県南タンブン郡、西チカラン郡、南チカラン郡、北チカラン郡の4地域に流入者が集中する傾向がある。
県内に工場を置くロッテ・インドネシアは従業員約300人のうち8〜9割が県内在住者。その他は管理職などでジャカルタから通勤しているという。同県には日系企業も多数進出しており、職を求めて多くの人が募集に応じる。同社の伊藤浩二サプライチェーン副社長によると、「応募で来る人はほとんどが県内在住者。規制に対する懸念は今のところない」という。
同県は住民・民事登録局をはじめ、地裁や警察・検察、地方自治体と連携して流入者対策にあたるとしているが、1億〜2億ルピアの経費がかかると非難の声もあがっている。(西村百合恵)