カカオ加工に外資続々 スイス、シンガポールなど 中間製品の生産基地に 最終品への加工も視野

 国内カカオ豆の加工業で外資による投資が相次いでいる。中間製品の生産基地としての地位を確立しつつあるが、世界第3位のカカオ豆生産実績と、アジアでの市場の伸びを反映している模様だ。さらに高い付加価値を付けるため、最終製品の加工体制も必要になっている。

 経済紙コンタンによると、インドネシア最大の3万2千戸もの契約農家を抱えるシンガポールのオーラム・インターナショナル(OI)は6100万ドル(約62億円)を投じ、ココアパウダーやココアバターなどの中間製品製造工場をジャカルタ近郊に建設。2016年操業を見込む。
 英国の消費者調査会社ユーロモニター・インターナショナルは、アジア・太平洋地域のチョコレート製品販売量の伸び率は今年5.4%を記録し、ここ2年の世界全体の増加率2%を大幅に上回ると見込む。
 OIは今後もアジアの市場が急速に伸びるとして工場建設を決めたという。
 マレーシア資本のJBココアとアジア・ココア・インドネシアは2千〜3千万ドル規模のカカオ豆加工工場建設を予定。米資本のカーギル・インドネシアは1億ドルを投じた東ジャワ州グレシックの工場が9月に操業開始を見込む。
 スイスのバリーカレボーや米マースは今年すでに南スラウェシ州マカッサルのカカオ豆加工工場を稼働させた。いずれも製造ココアパウダーやココアバターなどの中間製品だ。
 インドネシアは世界第3位のカカオ豆生産国。これまで主に原料のカカオ豆を輸出してきたが、近年加工工場への投資が相次ぎ、カカオ豆の輸出は10年の43万2千トンから13年には18万8千トンまで大幅に減った。逆にカカオ豆の加工製品の輸出額は同じ期間に61%増の6億5700万ドルになり中間製品への加工体制が整ってきた。
 カカオ産業協会(AIKI)によると、今年のカカオ豆生産量は42万5千トンと8年ぶりの低水準を見込み、7万5千トンは輸入する見込みだ。
 ただ最終製品に関してはシンガポールやマレーシア、韓国から輸入しているのが現状で国内の生産体制は整っていない。投資調整庁(BKPM)によると、現在カカオの最終製品の工場の建設予定はない。
 BKPMのアズハル・ルビス投資管理局長は「板チョコのような最終製品を生産する企業があるべきだ」と話している。
 また、インドネシアのカカオ加工業では近年、原料であるカカオ豆の調達をめぐっても競争が激しくなっており、地場農家との連携も課題として浮上。現在16社の主要ココア加工企業は19年までに19社となる見込みで、原料確保への動きが一層加速することが予測される。(堀之内健史)

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