仙石道場の中学生初出場 バリから東京講道館へ 接骨師会柔道大会
バリ島ギアニャールにある仙石道場のインドネシアの小中学生10人が13日、東京都文京区にある「講道館」の柔道場で開かれた柔道接骨師会の柔道大会に参加した。同道場創設者で元警視庁柔道師範の仙石常雄さん(69)が指導してきた中学生は今年初出場し、善戦した。
同大会参加は二度目。今年は小学生22団体、中学生5団体がトーナメント戦で争った。仙石道場の中学生は海外から参加した唯一のチーム。体が大きく力のある日本の子どもたちに果敢に立ち向かった。
結果は小中学生ともに一回戦敗退。中学生は抽選でシードに入ったため、5チーム中3位に入賞した。仙石師範は「体格の差、力強さは日本の子どもが上回っていたが、成長している姿が見えた」と教え子たちの健闘をたたえた。
今回は小学生だけでなく中学生も東京へ連れて行きたいと、仙石さんは支援者を探した。「日イの将来を担う若手柔道家が交流し、両国の懸け橋として育ってほしい」。仙石さんの思いに応えたのは駅ビルを運営するルミネの新井良亮社長だ。20年ほど前、仙石さんがJR東日本柔道部の師範をしていた当時から交流があり、バリの子どもたちの大会参加への支援を快諾した。
今回東京へ連れて行った10人は毎日練習に真剣に取り組んできた子どもたち。3人の女子中学生も参加した。10人は柔道大会で奮闘した後、観光も楽しみ、バリとは別世界の東京の街を満喫した。
仙石道場は2007年、仙石さんが私財を投じて設立。小学1年生から大人まで無料で指導を受けられる。現在約150人が週4日の練習に励む。技術を磨くとともに礼儀作法も学ぶ。練習後は近くの市民会館で、仙石さんがパソコンの基本動作や日本語なども教えているという。
仙石さんは「来年も子どもたちを大会に参加させたい。この年代の子どもたちが大人になって自立するまでそばで見届けたい」と話す。「礼に始まり、礼で終わる」。「相手を気遣う柔道の精神が役立つ日が来ればうれしい」と期待している。(山本康行)