日中が病院経営に参入 「外資は歓迎」 保健副大臣
日本と中国の病院がインドネシアに進出する。医療業界には外資に対する懸念がある一方、政府は医療水準が向上するとして歓迎する。
アリ・グフロン保健副大臣によると日本の投資家がジャカルタに病院を建設する計画があり、中国の投資家はすでに資金を用意しているという。それぞれの投資家の名前や、規模は明らかにしなかった。
アリ保健副大臣は「外資の病院がインドネシアに入ることを歓迎する」と話す。インドネシアは医療水準が低く、患者はマレーシアやシンガポールで治療したり、健康診断を受ける「医療観光」を選択したりする傾向がある。
地方からは大病院があるジャカルタやスラバヤへ行くよりも、近隣諸国の大都市の方が近く、安く済むという状況も患者の国外流出に拍車をかけている。
外資系病院の参入で、国内の医療水準が高まり、患者に国内の病院を選択させたいという意向だ。
同副大臣は「競争がなければ、質は上がらない」と話す。病院間の競争が激しくなることで、国内資本の病院の医療水準も上がることを期待している。
一方で、政府は外国人の医者や看護士を制限しているので国内の医療関係者の脅威にはならないと強調した。
■国立病院も体制整える
外資だけでなく、国主導でも医療の質向上を進める。 南ジャカルタに14日、国立神経病院が開院した。脳や脊髄、記憶喪失、エイズなどを治療する設備を整える。
インドネシアでは死因の15.4%が脳卒中と高い。2007年には1千人に8.3人だったのが、13年には12.1人に。25年には25〜30人になる可能性が指摘されている。
政府はこれを食い止めるため、最先端の設備を整えた神経病院とした。開院式に出席したユドヨノ大統領は「国立病院が世界レベルの病院になることを楽観している」と話した。(堀之内健史)