69%が競争力劣る 対ASEAN諸国 工業省調査
来年末の東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体=AEC=発足を前に工業省はこのほど、工業製品のASEAN各国との比較優位性の指標を公表、69%の製品で競争力が劣ることが分かった。経済界は競争力強化の早急な対策を求めている。
AECでは域内関税の原則撤廃を目指しており、域内で競争力の高い企業が事業を拡大し、低い企業は淘汰(とうた)される可能性もある。
工業省は3998の関税品目について、インドネシアが他国に比べ比較優位があるかどうかを示す顕示的比較優位指数(RCA)や、実際の輸出額が1千万ドルを上回るか、輸入が500万ドルを下回るかどうかなど基準に、競争力が強い製品と弱い製品に分類した。69%の2748品目が競争力が弱いグループに、1250品目が強いグループに分類された。
「弱い」と判断されたのは衣服やセメント、セラミックなど。「強い」と分類されたのはゴムや繊維、食品、飲料、自動車、金属、基礎化学など。ヒダヤット工業相は競争力が強い製品に関してはASEAN諸国への輸出促進策を取り、弱い製品は現在の国内市場を維持する政策を取る方針を示したが、具体的な政策は明らかにしなかった。
電力や交通などインフラ不足を原因とする競争力への懸念は、長い間指摘されてきたが、解消しておらず、経済界には政府批判の声が強い。
インドネシア靴協会のマルガ・シンギ国内企業発展部長は地元メディアに「政府には戦略が無い」とこれまでの無策を指摘。経営者協会(アピンド)幹部のフランキー・シバラニ事務局次長は具体的に物流の改善と電力・ガスの負担減、金利低下をあげて競争力強化を求めた。
■自動車には政策効果
工業省のブディ・ダルマディ最先端技術活用主要産業総局長が「乗用車は特に競争力が高い」と話すように日系企業が市場の9割以上を占める自動車産業は政府が期待する分野。
政府が低価格・低燃費自動車(LCGC)への優遇政策を発表した2012年以降は自動車メーカーの増産、部品メーカーの進出ラッシュとなり、今年の国内販売台数はタイを上回る見込みだ。トヨタとダイハツのトヨタグループは昨年、09年比で3倍以上となる13万6千台を輸出。LCGC車もフィリピンへ輸出するなど政策の効果が出始めている。(堀之内健史)