子どもの想像力育てたい 日本語の絵本を翻訳 ナシオナル大の福本さん
兵庫県の甲南女子大学から南ジャカルタのナシオナル大学(UNAS)に留学している福本愛(22)さんの絵本翻訳活動が佳境を迎えている。
UNAS日本語学科の学生6人とボランティアや教員の協力を得て、日本語の絵本を子どもが分かりやすい自然なインドネシア語に翻訳している。すでに「ふしぎなたいこ」「ばけくらべ」「おむすびころりん」の3作品を翻訳し終えた。今後、印刷代など集める。
インドネシア人学生と福本さんは週に一度、昼休みに集まり、個人で訳したものを持ち寄る。例えば「いってらっしゃい」は何と訳すか、インドネシアで人気のアニメ番組やマンガのフレーズを例に挙げ、議論に熱がこもる。
「絵本を通して子どもの想像力を養う手助けをしたい」とインドネシア人学生の輪の中心で意気込むが、福本さんはここへ至るまでに幾度か落ち込むこともあった。甲南女子大学で3年間、インドネシアに絵本を寄付するボランティア活動に取り組んで来た。しかし、寄付先の顔が見えない活動に仲間のモチベーションは低下し、福本さんがリーダーを務めていた年にサークルの活動休止を余儀なくされた。
今年4月に来イし、かつて絵本を寄付した南ジャカルタ・ブロックMのモスクを訪れた。本の中でも一番手あかにまみれ、表紙が汚れたものを広げると、自分たちの活動報告を写真を使ってまとめた冊子だった。「顔が見えるから面白い」という子どもたちの感想に、子どもたちも双方向性を求めていることに気づいた。
翻訳した絵本は、ウチュ・ファディラ日本研究所副所長の計らいで西ジャワ州ブカシ市バンタルグバン郡にあるごみ処分場近くの学校に8月中旬に寄付する予定で、福本さんは「子どもたちの反応を見て、作品数や冊数を増やしていけたら」と語った。
(月岡亜梨沙、写真も)