2億人がラマダン入り 1日の断食開け祝う 信仰心と連帯感高める
インドネシアのムスリム約2億人が29日、ラマダン(断食月)に入った。7月下旬までの1カ月間、朝4時半から夕方6時ごろまで飲食を絶ち、アッラーへの信仰心を高める。ラマダン開始の喜びを分かち合う前日夜の礼拝「タラウィ」からラマダン初日の「ブカプアサ(1日の断食開け)」までを追った。
■礼拝23回反復
「アッラーへの信仰心を高めるため、タラウィに集中する」。
ラマダン前日の28日午後7時ごろ。西ジャワ州ブカシ市内のモスク。ムスリムの義務1日5回中最後の礼拝「イシャー(夜の礼拝)」が終わると、「タラウィ」が始まった。
説法師ムハンマドさんはムスリム50人に水のペットボトルを配布した。タラウィではラマダンへの意欲を高めるため、礼拝を23回繰り返す。ムスリムらの声は次第に枯れていき、礼拝服は大量の汗で濡れた。
水を口に含みながらムハンマドさんは「ラマダンをやり抜く気持ちが必要だ。礼拝回数を増やし意識を高めることができた」と満足した表情。
■サフールから
29日午前4時ごろ、中央ジャカルタのクボンカチャンではラマダンの幕開けとなる「サフール(断食前の食事)」を知らせるアザーン(呼びかけ)がモスクから鳴り響いた。
近所の子どもたち10人がドラム缶を竹棒でたたきながら練り歩き、サフールの始まりを告げる。暗闇に包まれた家屋に明かりが灯りだした。
中央ジャカルタ・カンプンバリに住むサウィさん一家はスムール(肉とジャガイモのスープ)を食べた。「日没まで飲食を絶つため、サフールでしっかりと食事を取る。日中は体を動かさず体力の消耗を避ける」と話した。
■住民と一緒に
カンプンバリのモスクでは断食が開ける前の午後5時ごろから近隣住民らがブカプアサの食事の準備を始めた。カキリマ(屋台)や飲食店でアヤム・ゴレン(鳥の素揚げ)や野菜炒めを購入した。1日の断食を終える午後6時前後のアザーンが鳴ると、一緒にブカプアサを祝った。
住民のベニーさんはクエ(お菓子)とカキリマで買ったエスブア(フルーツ・ポンチ)で空腹を満たしたといい、「ラマダンはムスリム同士の連帯感を強くできるチャンスだ」と熱っぽく語った。(小塩航大)