金の違法採掘、抑制に苦慮 水銀含む廃水は川に投棄 西ヌサ州スンバワ島
地元住民らによる金の違法採掘が西ヌサトゥンガラ州西スンバワで問題になっている。2009年ごろから行われ、12年には一時、抑制されていたが再び急増。新たに問題としてクローズアップされている。英字紙ジャカルタポストが伝えた。
西スンバワ当局によると、島内8区域のうち6区域で千個以上の金の分離機が稼動していることが確認された。分離機は金を含む鉱石を粉砕するため鋼鉄の樽(たる)を回転させる仕組みで、金を抽出させる際には水銀が使われる。
例えば、タリワン郡のセンテルック村では、数十の分離機がポトタノ港につながる幹線道路からわずか数メートルの場所に設置されているが、タリワンの違法採掘者の一人は「取れるときも取れないときもある」と話す。
この違法採掘者は仲間とともにタノ丘陵周辺で金を採掘。得た鉱石は処理のため、丘から下ろし、分離機の所有者に1袋あたり3万5千〜5万ルピアを支払う。運が良ければ、10袋から約2グラムの金を採取できるという。
この男性によると、金の違法採掘は家族を養うのに欠かせないといい、重労働で危険が伴う仕事だが、それに見合う収入になるという。2週間で400万ルピアになることもあり、「農作業やオジェック(バイクタクシー)運転手より確実な稼ぎが得られる」と男性は強調する。
12の分離機を運営している男性は、日に50袋を処理し排水を近くの川に投棄しているが、水銀が環境を汚染していることには気がついていなかったという。
当局では環境破壊のほか、手作業の採掘者の生命も脅かすと警告し、2012年に違法採掘を抑制。だが13年末から再び急増するようになり、現在では8区域のうち6区域にまで広がったと、当局の担当者は話す。島内では5千人以上が違法採掘に手を染めており、スンバワ島だけでなくロンボク島やカリマンタン島からも採掘者が流入しているという。
問題解決のため、当局は官民による地域に根ざした採掘のあり方を提言しており、採掘地を特定の場所に集中し、管理することによって安全と環境に配慮した採掘を目指している。また、水銀が環境や人の健康に及ぼす影響についても周知を図るとしている。