航空業界再編進む 燃料費かさみ経営明暗 「今後2強に集約」 ガルーダ ライオン

 昨年のルピア安で燃料費がかさんだことで、国内航空会社の明暗がはっきりしてきた。国内に加え国際競争の激化が予想される。「国内航空業界は今後2強に集約されていくのではないか」(国際協力機構=JICA=の安田弘氏)との航空専門家の指摘もある。弱小会社は淘汰されつつあり、生き残りをかけた業界再編が始まりそうだ。
 昨年、ドルに対するルピアレートが急激に下がったことで、ドル建ての燃料調達費用が膨らんだ。運賃値上げで乗客が他の交通機関に流れたため、昨年の航空業界の経済成長率は6.09%で、前年の3分の1までに縮小した。タイガーエア・マンダラや国営ムルパティ航空、スカイアビエーションといった資金がない小規模の会社が路線縮小や運航停止に追い込まれた。
 運輸省のジョコ・ムルヤットモジョ航空総局長がこのほど地元メディアに明らかにしたところによると、エアアジア・インドネシアとガルーダ航空子会社のシティリンクがマンダラ・タイガーエアの株式取得を検討している。
 マンダラ・タイガーエアは国内外に20路線を運航していたが、経営悪化で2月から路線を減らしており、経営再建のため、売却先を探していた。エアアジアとガルーダどちらが株式を取得するかは今月中に発表されるという。
 17路線を運営していたスカイアビエーションも資金難で2月に運航を停止、国内外の投資家と交渉している。ムルパティも同月に運航停止した。
 一方、路線拡大を続ける2強はガルーダと格安航空のライオンエア。両社はルピア安による損失も限定的で、事業を拡大している。
 国内に40、国外に36の拠点を持つガルーダは今年、国際航空連合「スカイチーム」に加盟し、欧州など新路線の開拓を進めている。国内でも中・小型機を使用し、ヌサトゥンガラなど運航停止になった他社路線をカバーする形で東部などの路線開拓に力を入れている。
 国内に36拠点を持ち、利用者シェア1位のライオンエアは昨年、タイに子会社を設立。国内便のほか、クアラルンプールやジャカルタ便を運航するなど東南アジア諸国連合(ASEAN)内の航空網を強化している。
 ジョコ航空総局長は「スカイアビエーションのような資本力のない航空会社は為替や燃料費の変動に対応できず、生き残ることはできないだろう」と話す。ASEAN内で航空自由化が目前に迫り、海外航空会社との競争に備えた買収や経営効率化の動きは続きそうだ。(堀之内健史)

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