パーム油製品の新市場開拓へ ルトフィ商業相が意欲 中東や欧州南東で

 世界最大のパーム油生産を誇るインドネシアは、中国やインド、ヨーロッパ内の老舗マーケットへの依存度を減らすため、中東やヨーロッパ南東の各諸国で新しい拠点市場を求めている。ルトフィ商業相は9日、トルコ、マケドニアを含むいくつかの国で潜在的な貿易拠点を特定した。
 トルコはヨーロッパとアジアを結ぶ位置にあり、イラン、イラク、シリアを含むアラビア半島と中央アジア内の市場へのアクセスが可能。一方で、マケドニアはバルカン半島の中央部にあり、クロアチアやギリシャのほか、ヨーロッパ中央および東部に位置するイタリアのような国々へのアクセスに便利。
 ルトフィ商業相は「我々の狙いはこれらの地域に直接、パーム油を売り込むこと。競争力のある我々のパーム油であれば新市場への進出は成功するはず」と自信を見せる。また商業相は、未精製パーム油(CPO)やバイオディーゼルを含む日用品も新市場に輸出するとしている。
 新市場への輸出が始まれば、ヨーロッパや周辺都市にパーム油を出荷しているオランダ・ロッテルダム港への依存度は低下する見通しだ。現在、インドネシアのパーム油を購入している主な国には、インド、EU、米国も含まれている。
 インドネシア・パーム油事業者連盟(GAPKI)の幹部ファデル・ハサン氏は、この計画を全面的に支持する。トルコは商業戦略的に好位置にあり、かつ経済的にも急成長を遂げている点を理由とした。
 ハサン氏はまた、「この計画はインドネシアにとってトルコとの貿易関係を改善させる大きな機会になり得る。トルコがマレーシアと締結しているようなPTA(特恵貿易協定)への道も開ける」と指摘する。
 世界で二番目のパーム油生産量を誇るマレーシアとトルコのPTAは、今月に発行が予定されており、CPOのようなパーム油製品の輸入関税は31・2%から20%まで引き下げられる予定だ。このような動きは、インドネシア産パーム油の競争力を損なわせるとの声もある。
 ここ数年、インドネシアは、マレーシアとパキスタン間で締結されたPTAと同様の協定の影響で、パキスタンでの市場を失ってきた。インドネシアが払っていたパーム油の輸出関税は、マレーシアより15%高かったため、パキスタンへの輸出額は2007年の約10億ドルから急落した。
 12年2月にパキスタンと協定を結び、昨年9月に有効になってからは100 万トンの年間需要を持つこの国へのインドネシア産パーム油の輸出は大幅に増加している。
 GAPKIによると、栽培地域での好天などでインドネシアの14年のパーム生産量は、7・7%増の2800万トンとなる見通しだ。しかし、国内消費の急上昇などにより2120万トンにとどまる可能性も指摘されている。

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