契約交渉の決着見えず 未精錬鉱石禁輸めぐり ハイルル経済調整相 フリーポートと協議
未精錬鉱石の禁輸措置などに関し、ハイルル・タンジュン経済調整相は4日、米系鉱山大手フリーポート・インドネシアとの契約交渉と、精錬所を建設するとした同社との合意で浮上した問題について、次期政権が10月に発足する前には解決するとの見通しを示した。地元紙が報じた。一方で、フリーポート側は禁輸をめぐって異論を唱え続けており、完全な合意までにはなお曲折がありそうだ。
ハイルル調整相は、フリーポート・マクモランのリチャード・アドカーソン最高経営責任者(CEO)との会談のあと、声明を発表した。
交渉を阻害している問題と、同社の精錬所建設に関連した論点について、これらがフリーポートの事業や国の歳入に影響しないということを保証するためにも、速やかに解決されるべきとし、ハイルル調整相は「我々はできる限り早く、契約交渉に決着をつけたいと努力している。出来れば現政権の終わりまでに解決したい」と話した。
リチャードCEOにとって今回の会談は、未精錬鉱石の禁輸措置が施行された1月12日以降、今年2回目。各問題が契約交渉に関係しているのに加え、フリーポートは禁輸措置のため、銅の精製ができないままとなっている。会談後、リチャードCEOはコメントを避けており、表情も固かったという。
ハイルル調整相は会談後、記者団に対し、インドネシア政府とフリーポートは出来る限り早く合意を至るという点で一致しているとし、「すでにいくつかの部分で合意に達している。しかし同時に、さらに調整が必要な点もいくらかある」と述べた。
一連の会談は、2009年の鉱業法の下で義務付けられている契約の再交渉が中心となっており、以下の6つのポイントを網羅。(1)ロイヤリティの調整(2)売却(3)鉱山サイズ(4)ローカル商品の使用およびサービス(5)契約延長(6)国内加工・精錬の義務―としている。
精錬所建設までには4年の猶予が与えられていたにもかかわらず、政府の禁輸措置は産業界から非難の声が上がっていた。
強い批判を受け、政府は17年まで半製品の輸出許可の継続を決定したが、この規制緩和は半製品を扱う輸出業者に政府が60%の輸出関税をかけることになり、無意味なものとなっている。
フリーポートや米系ニューモント・ヌサトゥンガラのような鉱石大手は、追加の税金は契約に矛盾するとして関税の支払いを拒否。政府の姿勢を変えるため、陳情を続けている。
鉱山作業者たちが生産を停止し、輸出が急落したため、政府は国内で処理施設を建設する企業からの公約と引き換えに、輸出関税の撤廃を検討している。しかしながら、新しい輸出関税の決定は再交渉が完了するまでは未定のまま、とハイルル調整相は話す。
エネルギー鉱物資源省のスヒアル鉱物石炭総局長によると、大手各社の契約が21年に切れた際、鉱石採掘事業が確実に継続できるかという問題があるため、フリーポートとの再契約は現在、停止した状態になっているという。
スヒアル局長は「我々も基本方針は理解しているが、各問題についてより議論を深めることが必要だ。大手各社の契約延長を求める要望に関しては我々の法律にてらした法的問題が残っている」と話している。