天然ダム被災地に通信拠点 防災啓発活動なども実施 日本の無償資金協力で
昨年7月に天然ダムの決壊に伴う土石流で被災したマルク州アンボン市でこのほど、日本政府の草の根・人間の安全保障無償資金協力で整備した通信拠点「インフォメーションセンター」2カ所が完成し、市に引き渡された。24時間態勢で災害を警戒し、緊急時には中央政府との密な連絡が可能になると期待されている。
天然ダムは2012年7月の地滑りでウェイエラ川がせき止められてでき、決壊が予想されたため、日本政府は支援を実施。ダムの2キロ下流にある同市ヌグリ・リマ村と、アンボン市中心部の市防災局近くで通信拠点の整備に着手するとともに、地元の財団や学生グループなどを通じて避難径路や被災のリスクを示す啓発ポスター製作・配布したり、住民避難を呼び掛けたりした。また洪水時に高台に逃げるための避難経路も整備した。事業総額は約11万ドル。
インフォメーションセンターには無線機やパソコンを置き、係員が常駐する。完成はダムの決壊には間に合わなかったが、村にはそれまで無線設備がなかったことや、市防災局の設備もぜい弱だったため、今回の整備で通信能力が大幅に向上した。
天然ダムの決壊で同村は最大6〜7メートルの高さで浸水し、住宅470戸以上が破壊されたが、約5200人の住人は直前までにほとんどが避難を済ませていた。国家防災庁(BNPB)は行方不明者を3人としている。