1年ぶり5000超 政治安定と潜在力に期待 総合株価指数
インドネシア証券取引所(IDX)の総合株価指数(IHSG)は16日、昨年5月以来約1年ぶりに5000を超えた。経済成長は鈍化したものの、経済の潜在力や政治の安定への期待が投資家を引きつけている。従来からの懸念は依然残るが、上昇傾向は続きそうだ。
16日のIHSGは0.8%増の5031.57で終えた。先月の総選挙で第1党になった闘争民主党(PDIP=得票率18.95%)と第2党のゴルカル党(同14.75%)が連立協議を始めたとの報道を受けた14日、安定政権への期待から1.43%上昇した。
ハティブ財務相は16日、上昇要因として大統領選の連合が固まってきたという内的要因に加え、米国の経済指標が予想より悪く、新興国に金が流れていることや、日本の景気回復で輸出が伸びるとの期待が広がったためとの見解を示した。
同財務相が「(大統領選の影響だけでなく)予想より経常赤字が少なく、インフレ率も低いためだ」と自賛するように、投資家がインドネシアを選ぶ根底にあるのは、最近の経済指標の安定だ。
今年に入って、中銀の為替介入余力の指標となる外貨準備高は1千億ドルを超え、さらに積み増している。経常赤字やインフレ率も改善。昨年は「通貨危機再来」とまでいわれたルピアも昨年末から約7%上昇し安定している。
昨年はこれらの指標が軒並み悪く、米連邦準備制度理事会(FRB)が市場に大量のお金を供給する量的緩和の縮小示唆をきっかけに、株やルピアが暴落。昨年ルピアの通貨下落率はアジア地域でインドと並んで最悪の水準だった。
利上げなどが功を奏し、15日時点で今年の株価の上昇率はアジア地域ではフィリピンに次ぐ2位だ。
ただし、石油輸入や燃料補助金の拡大などに加えて、FRBが利上げに動けば、再び資金流出に見舞われる懸念もある。今年第1四半期のGDP成長率も4年ぶりの低水準になった。
邦銀関係者はルピア相場について「ジョコウィ氏への期待先行になっている部分があり、今年はじりじりと対ドルで1万2000ルピア近くまで下がる可能性がある」と話す。
日本貿易振興機構(ジェトロ)ジャカルタ事務所の富吉賢一所長は株価上昇について「ジョコウィ氏の要素に加え、景気自体も上向き。経済の潜在力は高いと見られており、今後長期的にも上昇していくだろう」と述べた。(堀之内健史、佐藤拓也)