「キャッサバ生産増を」 戦略的作物に指定 農業省 工業用など用途多様

 「用途多様なシンコン(キャッサバ)の普及を」。穀物ではコメの消費が圧倒的に多いインドネシアで、作付面積が減少傾向のシンコンの生産を増やそうという動きが広がってきた。                 
 農業省は2015〜19年の「戦略的計画」でシンコンを戦略的作物の一つに指定し、生産を拡大することを決めた。インドネシアでは人口や所得増加に伴い食糧需要が急増しており、食料安全保障強化のため穀物生産や消費の多様化が課題になっている。
 インドネシアでシンコンは、揚げたり、クルプック(揚げせんべい)の材料として広く食べられているほか、タピオカの原料としても需要がある。工業用でん粉や、最近ではバイオ燃料の原料としても注目を集めており、用途は様々。
 だが作付面積は減少傾向。中央統計局(BPS)によると、昨年のシンコン生産量は2300万トン。2009年から生産効率は平均4.64%増え、生産量も増えているが、作付面積は2.48%減った。
 農業省農作物収穫局のダディ局長によると、サトウキビやアブラヤシ栽培の方が利益が出るため、転作する農家が増えている。
 シンコンは植え付けから作付けまでが10カ月と長く、普及しない原因になっている。流通網や価格決定システムも未整備。政府はこれらを改善するほか、輸入を制限して国内農家の育成を図る。シンコン農家は零細が多く、流通や小売り業者との協力を促し生産を拡大する。 
 生産性向上も課題だ。現在インドネシアでは1ヘクタール当たりのシンコン生産量は18.7〜19トン。農業省は、規模の拡大や作業効率向上を進めて、40〜60トンまで増やすことを目標にする。
 カディン(商工会議所)が15日に開いた「シンコン円卓会議」と題した討論でカディン担当者は「シンコンは注目を浴びていない」と嘆く。1945年に穀物消費の22.26%を占めていたシンコンは現在ではコメや小麦に押され、10%以下になっている。
 大学講師や生産者らが参加した討論ではシンコン農家への補助金や設備調達から、印象が薄いとして名前の変更まで多様な議論が交わされた。(堀之内健史)

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