「医薬品取引健全でない」 製薬・病院間でカルテル 事業競争監視委
事業競争監視委員会(KPPU)のムハマド・ナウィル委員長は9日、医薬品の取引が「健全でなく、消費者に損害を与えている」との見解を示した。新社会保険制度が始まり、国民の医療機関へのアクセスが増える中、排他的とされる医療業界の変革が必要になっている。経済紙ビスニス・インドネシアが報じた。
ナウィル委員長は医薬品の取引が公正な競争下にないと指摘。KPPUは不正を調査中とした。
同委員長によると、同業他社間での価格取り決めではなく、製薬会社と病院、医者、薬局などが価格を示し合わせる「垂直的カルテル」が横行している。一方で証拠がなく、突き止めるのは困難という。
ジャカルタの病院の医師は同紙の取材に「製薬会社とお互いに利益を得る構造は長い間続いている」と明かした。
インドネシア消費者健康促進財団のマリウス・ウィジャジャ会長によると、一般的に消費者には医薬品の知識は無い。そのため消費者は医者の処方箋に従って、指定の薬局で指定の医薬品を購入するしかなく、損していることがある。
マリウス会長は政府に、価格の安い後発医薬品「ジェネリック医薬品」の販売価格を統一するよう保健省に求めており、同省は医薬品販売の規制強化を検討している。
政府は今年、国民皆保険に向けて新社会保険制度を始め、複数機関にまたがっていた制度を社会保障機関(BPJS)に統一した。
医療保険で処方される薬が高額では政府の負担も膨らむ。政府は有効性や価格などの情報をまとめた電子カタログを配布するなどして、医療保険を受ける患者らに医薬品情報を提供していく。