電力料金値上げ実施 民間に優遇措置準備
政府は1日、電力料金の値上げを実施した。国家予算の電力補助金が財政を圧迫しており、大規模産業向けに段階的に値上げする。産業界から期間や値上げ幅の再考を求める声が出ており、政府は企業に優遇措置を用意して対応する構えだ。
エネルギー鉱物資源省のジャルマン電力局長は30日「ルピア安による化石燃料の価格上昇の影響で、電力補助金が膨らみ続けている」と述べた。2014年の電力補助金は、13年の不足分と合わせ71兆4千億ルピアが計上されており、財政を圧迫している。補助金削減は急務で政府試算では今年だけで約8兆9千億ルピアの削減につながるという。
値上げが急すぎるという産業界からの批判に対し、ジャルマン局長は特定の産業に優遇措置を設ける法案を近く国会に提出すると明らかにした。「どの業界にどの程度の優遇措置を与えるかは議論している段階」としているが、輸出が中心になる業種やたばこ産業は対象外になる予定だ。
電力料金の値上げは段階的に2カ月ごとに計4回を検討しており、敷設容量が200キロボルトアンペア(kva)超の「I3」が最終的に38.9%、3万kvaを超える「I4」が計64.7%増となる見込み。「I3」は四輪や二輪などの製造業が集まる。一方で「I4」は生産工程で電力を多く使う素材産業などが含まれる。
政府は値上げ以外で民間の協力を促す仕組み作りも検討している。民間の電力供給を可能にする「パワーホイーリング」を15年初めに実施する予定だ。
同制度では国営電力PLNから電力を購入するほかに企業の電力自家発電を支援する。電力会社に電力を卸売り販売する独立電力事業者(IPP)とは異なり、民間は自家発電設備を用意し、PLNの送電線などを借りることで電力料金を安くすることができるという。ジャルマン局長はIPPはPLNの資金力では債務の元利払いが不可能なため、パワーホイーリングが有効的だとしている。(高橋佳久)