電力負荷増2.3万MWに 料金引き上げは必至か ジャワ・バリ網、最高を更新

 国営電力PLNは27日、国内最大の消費地域であるジャワ―マドゥラ―バリ系統電力網において、ピーク時の電力負荷が2万2974メガワット(MW)に達し、過去最高を更新したと発表した。PLNは、安全水準20%を上回る26%の余剰電力を確保しているとしているが、数年後には不足に陥る予測もある。同社と政府は5月から産業向け料金引き上げを予定しており、発電所建設を根拠に引き上げ不可避な情勢だ。 
 過去最高を更新したのは24日午後6時(西インドネシア時間)で、2013年10月17日午後7時(同)に記録した2万2567MWを407MW(1・8%)上回った。PLNは、ここ1週間は高温の日が続き、エアコンが通常より長時間使用されたことが直接、負荷を押し上げたとみている。家庭やショッピングセンター、公共施設などの利用者に対し不要な電気製品の使用を控え、節電を呼びかけている。
 ングラ・アドニャナ取締役(ジャワ―マドゥラ―バリ系統担当)によると、同系統電力網における現在の出力は約3万1千MW。近く、中部ジャワ州でアディパラ火力発電所(660MW)も稼働する見込みで、余剰電力は当面十分だとしている。ただし今後大規模発電所が建設されないと、16年にも電力不足に直面する恐れがある。同系統電力網が覆う域内の人口数は国内全体の約7割に上り、ジャワ島には化学、繊維、自動車などの大規模工場が集中する。
 電力負荷は09年以降で毎年5%以上伸びており、特に11年には9・06%と急伸した。2年前のピーク時に2万MWを突破して以降、早くも2万3千台に達しつつある。今年は伸びが鈍化しているが、国民の電気製品利用の多様化、産業での電力消費増により、一貫して上昇している。
 国家エネルギー委員会のトゥリマン委員は、マレーシアが全人口約2930万人を支えるために2万6500MWの給電設備を整えている一方、同規模容量のジャワ―マドゥラ―バリ系統は5倍の人口を抱え、給電は大幅に不足していると指摘。早急な大規模発電所と送電設備、電力インフラの整備を求めている。PLNは電力負荷の過去更新を受け、インフラ資金の調達、発電燃料の確保を、料金引き上げの理由付けにするとみられる。
 
■繊維、1割解雇も
 インドネシアの繊維業界は、産業向け電気料金引き上げに以前から強く反対している。予定通り、5月から段階的に引き上げられた場合、生産コスト拡大により従業員の1割解雇も止む得ないと政府に警告している。インドネシア繊維協会(API)のアデ会長は、繊維業上流分野で働く労働者は全国で約10万人に上り、引き上げが実施されれば男性、派遣、期限契約の労働者を中心に大量解雇が起きると懸念している。(前山つよし)

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