日・イ共存共栄が大切 JJC本岡理事長、1年振り返る イの自立をサポート
ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)の理事長を昨年4月から務め、17日の総会を機に退任する本岡卓爾さん(伊藤忠インドネシア社長)に1年を振り返って話を聞いた。本岡さんは「インドネシアの自立をサポートしつつ、共存共栄していくことが大切だ」と強調した。
―この1年、投資先として人気が高まるなど、インドネシアの存在感がいろいろな意味で強まったが
本岡さん「インドネシアは唯一、ASEAN(東南アジア諸国連合)からG20に選ばれているし、自信を持っていると思う。それが昨年の国産化の流れというか、外国製品排除の規制につながっている。新通商法や鉱業法などは大臣レベルで規制をかけられるようになった。しかし、日本製品は社会にあふれている。日本ばかりが目立ってはいけない。インドネシア経済の自立、発展をサポートして、共存共栄を目指していきたいと常に考えてきた」
―投資環境改善の働きかけは
「意見具申活動委員会がいくつかの成果を挙げた。昨年6月ごろ、タンジュンプリオク港が混雑し、品物が出てこない状況になったため、当局と会合を持って問題を指摘した。それもあり、9月ごろにはかなり改善した。会合後も修正点について、当局から説明があるなどコミュニケーションも円滑になった。労働問題では、アウトソーシング(派遣労働)の規制範囲が明確ではなく、日系企業が非難を浴びることがあった。労働移住省に何度もしつこいぐらいに明確化を求めて改善につなげた」
―インドネシア政府との交渉で難しかったことは
「電力の値上げの問題では政府にレターを出したが、回答がない。のれんに腕押しみたいで、次の理事長にバトンタッチせざるをえず、残念だ」
―日イの友好親善で感じたことや課題は
「日本だから、ということでリスペクトされる時代ではないということを認識して動かないとうまくいかない。最近では(政府関係者との間で)JJCとしてアポが取れないこともある。昨年はジャカルタ日本祭り(JJM)、インドネシア日本エキスポなど多くのイベントを通じて日本を好きになってもらう努力をしたが、今後も同様に続けてほしい」
―1年の感想を一言
「いろいろな意味でPRしていくことが大事。JJCの中で活動内容が見えにくいという声も聞いた。対外的な活動とともに内部での広報活動も軽視してはならないと感じた。組織内の雰囲気は先人の方の努力のおかげで、すごく風通しが良く議論が活発だった。気持ちよく仕事ができ、ハッピーな1年だった。皆さんの協力に心より感謝したい」(聞き手、臼井研一、堀之内健史、写真も)