【ジャカルタ・フォーカス】オートバイ利用者が懸念 目抜き通り乗り入れ禁止案 MRT完成後
大量高速鉄道(MRT)が2018年に完成後、スディルマン通りなど首都主要道路の車の通行を有料にし、オートバイの乗り入れを禁止するー。ジャカルタ特別州のアホック副知事が明らかにした計画に、都心のオフィスビルなどで働くオートバイ通勤者やオジェック(バイクタクシー)運転手から懸念の声が出ている。
目抜き通りではMRTの工事が続いている。タムリン通りのトランスジャカルタの専用車線は両側とも作業場として使われ、一般車線を共有。オートバイは乗客の昇降で一時停車した公共バスの間をすり抜けていく。朝夕の混雑時には歩道に乗り上げるオートバイもある。
アホック副知事はMRT開通後は、目抜き通りの通行料徴収、トランスジャカルタなど交通機関の利用を呼びかけ、渋滞を悪化させるオートバイの乗り入れを規制する意向を表明。対象地域はクニンガンなど都心広域を想定する。オフィスビル管理者と話し合い、駐輪場を設けるなど対策を講じるという。
タムリン通りで働く警備員のナジットさん(28)は、自宅のある南ジャカルタ・タンジュン・バラットから毎朝オートバイで通勤する。乗り入れ禁止計画については「交通機関が便利になってから」と難色を示す。現状ではトランスジャカルタやコパジャは時刻表もなく、毎朝混雑するため乗りそびれることもある。「タムリン通りが有料化されれば、自家用車を持つ富裕層だけのものになってしまう」
オジェック歴17年のアリさん(49)は「死活問題になる。オジェック仲間とデモをやって抗議する」と話す。表通りへの乗り入れが禁止されれば、毎週日曜のカーフリーデーのように、脇道や裏道が大渋滞することが予想される。
都心の大通りには平行する裏通りが全く整備されておらず、昔ながらのカンプン(下町)が広がる地域がほとんど。MRTの完成はまだ先だが、カンプンの住民でもあるオジェック運転手たちからは早くも心配する声が聞かれた。(山本康行、デワンダル・アリョ・テジョ、写真も)