受給者3割、所在不明 アホック副知事 「名簿公表して不正究明」 首都の教育カード
非政府組織(NGO)の汚職監視団(ICW)はこのほど、ジャカルタ特別州の教育カード(KJP)で給付金の着服など不正が多発していると報告した。これを受け、アホック副知事は1日、ICWや汚職撲滅委員会(KPK)と協力して実態を調査し、制度を改善する方針を示した。地元紙が報じた。
ICWは聞き取り調査の結果をまとめ、給付金が5万〜10万ルピア中抜きされたり、受給者がカード取得時に金銭を要求されたりした例を報告。給付を受けた人の19・4%が受給資格を満たしていない疑いがあり、全体の31・7%が所在不明だと指摘した。
副知事は職員が給付金を着服している疑いがあることを認め、教育局にICWやKPKと協力して事態を調査し、制度を改善するよう指示した。
また副知事は給付の実態を明らかにするために受給者名簿を全て公表する必要があるとした。KJP導入時、不正受給を防ぐため受給者名簿を公表する方針だったが、一部の学校が公表を拒んでいるという。
副知事はほかに貧困世帯の児童・生徒を全寮制学校で教育する案を披露した。
KJPはジョコウィ州政の目玉政策の一つで、州内の低所得世帯で育ち、学校から推薦を受けた児童・生徒が対象。州営DKI銀行の口座に高校生で月24万ルピア、中学生で同21万ルピア、小学生で同18万ルピアが3カ月に1回、まとめて振り込まれる。
州政府は今年、予算を昨年から倍増させ、1・5兆ルピアをKJP事業に割り当てている。
問題を指摘したICWは、副知事が大統領選後に知事へ昇格した際の副知事候補の一人として名前を挙げたテテン・マスドゥキ氏が率いたNGO。政策決定過程での州政府とNGOの関係に今後、注目が集まりそうだ。