開発に民間企業誘致 国内供給の安定図る エネ需要で輸入増
石油、電力需要増で燃料輸入量が増大し収支が悪化している。国内供給量の拡大に向け、インドネシア政府は民間企業に開発案件へ資本参加を呼び掛ける。安定した供給体制の構築が急務だ。
エネルギー鉱物資源省はこのほど、1日に必要な補助金燃料割当量125万バレルのうち、60万8千バレルが供給不足だと明らかにした。
国内の石油プラント施設不足による石油減産で輸入量が増大。今年の補助金燃料予算では211兆ルピアを確保したが、超過するのは確実で値上げは避けられない。
同省の担当者によると、日産30万バレル級の石油プラント2カ所(計60万バレル)の建設が必要で「輸入で不足分を補填している。燃料割当量を国内から供給できるよう対応する」と話す。
同省のスシロ・シスウォウトモ副大臣は民間投資の重要性を強調し、「官民連携でプラントを建設する計画もある。日産10万〜15万バレル級のプラントに関心を持つ企業でも可能だ」と必死だ。
来年には1日に必要な補助金燃料割当量が136万バレルに膨れ上がり、64万バレルが供給不足になるとの試算もある。
国営電力PLNは上昇する電力需要に苦しむ。ピーク時の最大電力需要2万9500メガワット(MW)に対し、供給能力は3万4千MWが限界で、発電所増設が必須だ。
事態打開に向け、民間企業に資本参加を要請。発電容量増大に向けた設備投資額1兆2千億ルピアのうち、最大60%にあたる7200兆ルピアを民間資金で賄う計画だ。
英系スタンダード・チャータード・インドネシア銀行は1月、火力発電所建設案件に約3兆ルピアを融資すると発表した。
住友商事は昨年9月、インドネシア国内で地熱発電所9カ所の建設を約6千億ルピアで受注した。
14年国家予算の電力補助金予算は71兆4千億ルピアで国家財政を圧迫する。さらに発電燃料の輸入増でPLN13年収支は約30兆ルピアの赤字に転落した。5月から段階的に産業向け電気料金を値上げし電力供給体制を維持する構えだが、先行きは不透明だ。(小塩航大)