汗かいて人々と触れ合う 世界遺産ウォーク再開 ジョクジャ観光の魅力
二〇〇八年の日イ国交樹立五十周年を記念して開始されたジョクジャカルタ世界遺産ウォーク(主催・ジョクジャカルタ・ウォーキング協会、実行委員長・プンバユン王女)の第三回大会が十九、二十の両日、プランバナン寺院とイモギリのハメンクブウォノ王家の墓地周辺で開かれた。昨年はムラピ山噴火で中止されたが、元気を取り戻したジョクジャの魅力を発信する一大イベントにしようと、今年は国際ウォーキング協会(IML、本部オランダ・ハーグ)幹部も参加し、同大会の正式登録に向けて実施状況を審査。日本人五十人など外国人や地元市民ら計二千人が、さわやかな汗をかきながら世界遺産や豊かな自然を楽しんだ。
開会式では、プンバユン王女と親交のある環境アーティスト・サイヒロコさんが、プランバナン寺院前で「環境四次元アート」を披露。インドネシアの人々が東日本大震災被災者への支援を行っていることから着想を得て、人と人とのつながりをアクリル板に色とりどりの絵の具で表現した。
州知事のハメンクブウォノ十世は「今日は重要な日。三回目を迎え、ジョクジャ市民をはじめ参加者が増えている。スポーツとしていっそう盛り上げていきたい」とあいさつした。
大会には、ジャカルタ歩く会のほか、京都や滋賀のウォーキング協会、韓国からも参加した。
■村では結婚式も
「スラマット・シアン(こんにちは)」とあいさつすると、「スグン・シアン(同)」と地元の人たちがジャワ語で笑顔を返す。プランバナン寺院をはじめジョクジャ北東部に広がるヒンドゥー教の遺跡群。青空の下に広がるタバコやピーナッツの畑。雄大な自然の中、約三百人の参加者は、五キロ、十キロ、二十キロに分かれ歩いた。
遺跡周辺の村では、伝統音楽が響く中、数字の「11」が並ぶ十一月十一日に入籍した夫婦の結婚式があちこちで開かれており、参加者はジャワの伝統行事も楽しんだ。二十日には、同州バントゥル県イモギリで、ガルーダ・インドネシア航空が運営する「ガルーダの森」周辺の丘を歩き、さわやかな汗を流した。この後、植樹も行った。
東京から参加した川角恵子さん(七〇)は両日、十キロを完歩。一九九一年の東松山大会からIML登録の計二十五カ国を歩いてきたが、ジョクジャは初めて。ボランティアスタッフが空港で迎えたことに感激したといい、「ほかの国にはない人の温かさを感じながら、緑が濃くて素晴らしい環境を歩くことができた」と感想を述べた。
■大会の国際審査
三回目を迎え、今年はニュージーランド、ベルギーから派遣されたIML審査員が全コースを視察。大会の規模や救急体制、トイレや給水所などコースの整備状況などを審査した。
この結果、国際水準を満たすと評価されれば、同協会の会員として正式に登録され、今後、各国の会員に幅広く参加を呼び掛けることができる。審査内容は、オランダの本部に報告され、結果は来年六月に発表される予定という。
審査員のダーク・デ・ボーバー氏は「世界遺産をはじめ、豊富な自然に囲まれたコース環境の魅力を体感した。またジョクジャの人たちの温かさは、アピールポイントだ」と話した。
ウォーキングには、ボランティアとしてガジャマダ大学など地元の大学生約百五十人が参加。日本語と英語で参加者をサポート。参加者や審査員から高い評価を受けた。
実行委員長のプンバユン王女は、大会の最大の魅力に村落観光を挙げる。「歩きながら地元の人々と触れ合い、より多くの人々にインドネシアの文化、歴史を感じ取ってほしい」と語った。