進む日イサッカー交流 J2札幌、クラブ提携模索
リーグ間協定の締結やJ1のヴァンフォーレ甲府のインドネシア人選手獲得に続き、日イのサッカー交流が加速している。J2のコンサドーレ札幌の三上大勝ゼネラルマネジャーがこのほど来イし、クラブ間提携を目指し関係者と協議したほか、有望選手の獲得に努力している。提携が実現すれば日イ間で初のクラブ提携となる。
札幌が提携に向け協議しているのはアレマ・クロノスとプリタ・バンドン・ラヤの2クラブ。4月中の実現を目指している。これまで培った選手育成やクラブ運営の手法や経験を伝え、提携先からは本拠地の札幌市や北海道の宣伝、観光客誘致で協力を得るのが狙いだ。
札幌は下部組織での若手選手育成に注力していることで知られる。トップチームの選手34人中22人が下部組織出身で、12年にはU18(18歳以下)チームがJリーグユース選手権大会で優勝した。東南アジアの関係者の間には日本サッカー発展の背景に若手の指導法が優れているとの見方があり、協力を求める声が強いという。
札幌は2013年にタイのコンケーン、ベトナムのドンタム・ロンアンと提携しており、今回、提携が実現すれば東南アジアで3カ国目。また、インドネシアやタイ、ベトナムで注目している候補選手のいずれかを28日に迫るJリーグの選手登録期限までに獲得したい考えだ。
札幌は昨年、ベトナムのレ・コン・ビン選手を期限付き移籍で獲得。東南アジア初のJリーガーとして注目され、初先発した試合で初得点、初退場するなど話題を呼んだ。
レ選手は契約期限が切れると移籍元クラブに呼び戻されて退団。5カ月間で去り、計11試合に出場、4得点を挙げるにとどまった。
ベトナムにはサッポロビールが進出しており、当地で「サッポロと言えばビールだった」(三上ゼネラルマネジャー)が、「ベトナムの英雄」と呼ばれるレ選手の移籍で北海道や札幌市の認知度が上がったという。
■イルファン選手出番なし
ヴァンフォーレ甲府に加入したインドネシア人初のJリーガー、イルファン・バフディム選手の状況は思わしくない。1日に開幕したリーグはすでに3試合を終えたが、すべてベンチ外だった。移籍交渉の際に甲府側は2年契約を提示したが、イルファン選手側は試合に出られない状況を想定して1年契約を結んだ。イルファン選手の不安が的中した格好だ。
Jリーグは今季から提携国出身選手向けの出場枠を設定。東南アジアの提携国からの移籍へ向け間口は確実に広がっている。ただ、東南アジア人選手の能力について、関係者は異口同音に「日本選手と遜色ない」と評価するものの、組織的な攻防を重視する日本サッカーへの適応に課題が残っている。(田村隼哉)