石油依存脱却へ 国営電力 再生可能エネを拡大
国営電力PLNは発電燃料の石油依存縮小を目指し、水力は地熱などの再生可能エネルギー利用を増やす。この一環で、今年の石油使用量を12年比80%減の160万トンにすると発表した。ルピア安で調達コストが膨れ上がったため。一方、全体に占める再生可能エネ割合を21年には20%へ拡大させる。
再生可能エネと天然ガスの使用量を増やし、石油依存からの脱却を図る。担当者によると発電燃料向け石油は輸入せざるを得ず、「最終目標は石油を利用しない発電だ」と話す。
石油使用を100万トン削減すれば支出は8億6千万ドル減る。今年は約50億ドル節約する予定だ。11年の使用量は1120万トンに上り、昨年は削減を図り約30億ドルを節約した。
石油輸入は現在、燃料費全体を圧迫しており、この現状が続けば電気料金の大幅値上げが必要になる。21年には石油による発電を全体の1%にまで縮小する方針だ。
PLNが注目しているのは再生可能エネルギーで、21年には発電量を1万3千MWメガワット(MW)にまで引き上げ、発電全体に占める割合を12年の12%から8ポイント拡大させる。
■水力・地熱を拡充
PLNは今年、中部ジャワ州と西ジャワ州に発電容量500MWの水力発電所をそれぞれ建設する。現在の水力発電量は797MWで、今後は計5カ所の建設を通じて1760MWに引き上げる。
地熱エネルギーの埋蔵量は世界2位。今年は西ジャワ州チブニと東ヌサトゥンガラ州ウルンブの2カ所に容量計7MWの発電所を建設する。将来は北スマトラ州サルーラと南スマトラ州ムアラエニムに550MW級の発電所を建設する。
■資金調達が課題
再生可能エネ拡大には課題がある。21年の20%達成には770億ドルの資金が必要で、このうち民間からの必要調達額は370億ドル(47%)との試算もある。
発電所稼働までには、事前調査と開発期間を含め最低7年を要する。現在、PLNが事業者から購入する地熱発電の価格も1キロワット時当たり11〜18セントと低価格で収益性が課題となっている。資金獲得には、民間に安定した利益が分配される仕組みが重要となっている。(小塩航大)