バイオ燃料の国内利用拡大 含有率引き上げ奏功 石油輸入減らす
国産バイオ燃料の利用量が上昇している。国産石油の生産が減る一方、国内のエネルギー需要は増加の一途だ。産油国からの石油依存が貿易収支の赤字を悪化させる。石油依存からの脱却を目指し、バイオ燃料の普及を図る。
■パーム油需要増で商機
バイオ燃料として注目が集まるのはアブラヤシから精製するパーム油だ。インドネシアの昨年の輸出量は2120万トンで世界最大。パーム油業者連盟のジョコ・スプリヨノ事務局長によると、国内需要が昨年比25%増の1千万トンになるという。14年の生産目標は2800万トンで、20年には4千万トンまで生産を拡大させ需要に対応する構えだ。需要増を見込み、国営マンディリ銀行は昨年1〜10月で前年同期比7%増の51兆9千億ルピアをパーム油業者に貸付けた。
■利用広がる
国営電力(PLN)もバイオ燃料を発電用に利用する。パーム油大手のシナルマス・アグロリソース・テクノロジーからのパーム油供給量を拡大させ、年間630億ルピアで6720トンの供給を受ける。エネルギー鉱物資源省と運輸省はこのほど、整備車燃料などでのバイオ燃料使用で合意した。目標では2016年までに比率を2%、20年までに3%へ引き上げるという。
昨年10月のバイオ燃料消費量は同年8月比101%増の11万6281リットルに急上昇した。発電用は従来の10%から2倍の20%になり、PLNの同消費量は前月比の倍増となった。
同省の担当者によると、2カ月間で約1億6千万ドルの節約効果があったという。
■貿易赤字対策
インドネシアは昨年6月の補助金燃料値上げをきっかけにインフレ率の上昇やルピア安で貿易赤字に苦しんだ。中央統計局(BPS)の貿易統計では13年1〜11月の原油・石油製品の赤字は前年同期比20%増の252億ドルになった。国内の原油生産量も1990年の日産約160万バレルをピークに、12年には同87万バレルと半減した。
国産バイオ燃料の消費を増やして石油の輸入を減らせば、貿易収支の改善につながる。エネルギー鉱物資源省は昨年9月、緊急経済対策の一環で軽油に混ぜるバイオ燃料の含有率を10%に引き上げた。年間28億ドルの燃料輸入の削減が可能になったという。
政府はエネルギー供給源に占める石油の割合を49%から25年に20%まで削減する計画だ。バイオ燃料を含む再生可能エネルギーは6%から17%まで引き上げる。(小塩航大)
バイオ燃料 石油や石炭などの化石燃料に変わる新エネルギーとして注目が集まる燃料。トウモロコシやサトウキビ、アブラヤシなどの植物資源からエタノールやガスを生成する。二酸化炭素の排出量が少なく、ガソリンや発電用燃料として使用されている。