商業地化問題が再燃 国会「許可出さない」 スナヤンのタマンリア
中央ジャカルタ・スナヤンの国会に隣接する遊園地「タマンリア」跡地の開発をめぐる問題が再燃している。開発業者アリオビモ・ラグナは、10.5ヘクタールの土地を活用し、ショッピングモールの建設を目指しているが、国会のマルズキ議長は21日、「国会は緑地から商業地への変更を認めない。国会の許可が出なければ環境影響調査の許可が出ず、州政府は建設許可も出すことができない」と述べた。
アリオビモは08年に25年間の土地使用権を政府から取得。10年に不動産大手のリッポー・カラワチ社と提携し計画を本格化させた。しかし、同区域を含んだ議員ビル建設を計画していた国会が「渋滞が悪化する」などと猛反発。これを受けて当時のファウジ・ボウォ・ジャカルタ特別州知事が建設許可を凍結したが、10年9月にアリオビモが行政訴訟で提訴。最高裁は12年にアリオ側の要求を認める判決を下していた。
ジョコウィ州知事は先に「法に背くことはできない」として、開発計画に許可を出す方針を表明。これに対し、国会が再び反発した形だ。アリオビモはゴルカル党幹部のシャリフ・チチップ・スタルジョ海洋水産相が率いる企業で、政治的な圧力を疑う声も上がっている。しかし、スタルジョ氏は英字紙ジャカルタポストに対し、「私は長い間、ビジネスから離れている」と関与を否定した。
この土地を含むスナヤン地区一帯は国家官房庁下にある国有地で、公園・スポーツ施設用地に指定されている。しかし、スハルト政権下で、BOT(建設・運営・譲渡)方式により民間企業の開発が認められ、タマンリアは1970〜90年代、緑が豊富な遊園地として、首都圏の市民の憩いの場となっていた。その後、開発はとん挫し、数年前まで広大な敷地の一部で、レストランとディスコが細々と営業していた。(上野太郎、写真も)