地域の知恵、自然共生に 高校生が聞き書き調査 竹細工職人らに学ぶ 西ジャワ州ボゴール

 その人の言葉をそのまま書き起こして残す「聞き書き調査」を通して、地域の知恵を継承する第一人者を訪れ、その土地に息づいている価値観を直接学んでもらおうと、非営利法人(NPO)「共存の森ネットワーク」(東京都世田谷区)は6日、筑波大学附属坂戸高校(埼玉県坂戸市)の姉妹校であるボゴール農科大(IPB)附属コルニタ高校の生徒と西ジャワ州ボゴールやチアンジュールの村落を訪れた。生徒34人は、竹細工職人宅など計8カ所で聞き書き調査を実施、製作工程を実際に体験しながら自然と共存する伝統的価値観を学んだ。(小塩航大、写真も)
 
 2002年から高校生を対象に「聞き書き甲子園」を開催している共存の森ネットワークが、コルニタ高校にも取り入れてもらおうと、「聞き書き甲子園」に出場している筑波大学附属坂戸高校の協力で実現した。トヨタ環境活動助成プログラムの一環。
 生徒たちは8チームに分かれて、伝統芸能ワヤン・ゴレック(木偶人形芝居)の人形職人や竹細工職人の家などを訪問。このうち生徒4人は同州チアンジュール県の山間部で、竹の香りが漂う職人の家を訪問。竹細工の生産現場では、女性が薄く加工された竹ひごを手編みして、繊細な模様を作りだしていく。
 「竹細工で1カ月どのくらいの収入が得られるのか」「竹細工の醍醐味(だいごみ)は何か」「竹細工を今後どのように売っていくのか」。長年にわたって蓄積されてきた技術を目の当たりにした生徒たちは興味津々。多岐にわたる質問に対し、丁寧に答えてくれる職人の言葉をノートに書き留めていった。
 その後、竹林に移動し、生徒たちは伐採から生産までの工程に挑戦した。竹の倒れる向きと距離を考えながら切っていく職人とともに、竹を持って山の斜面を上る。生徒たちの額には汗が吹き出た。
 同校2年生のシティ・シャワリア・フェブリアニさんは「竹細工の現場を訪れるのは初めて。普段触れることのない生産現場で、直接自分の目で工程を見ることができた。人生を通して行う仕事について考える良い機会になった」と目を輝かせた。
 生徒は今回の調査をまとめてレポートを作成。今年12月、坂戸高校の生徒4人とともにコルニタ高校で発表する。来年3月に開催される聞き書き甲子園には、コルニタ高校の生徒を招待する予定。
 今回の聞き書き調査に同行した共存の森ネットワークの森田真由子さんは「私たちはこの11年で培ったノウハウを海外の高校生にも体験してもらおうと考えている。調査を通じ、インドネシアの高校生にも自然と共生する大切さ、多様な価値観に触れてもらえたと思う」と語り、今後インドネシアでも聞き書き調査の魅力を伝えいくという。

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