各自動車メーカー、今年は停滞予測 有望分野は競争激化
ルピア安や経済の停滞で今年のインドネシアの自動車市場は停滞するとの見方が強まっている。ただMPV(多目的車)や低価格小型車など、今後も高い成長率が見込まれる分野でのシェア争いは激しさを増しそうだ。
「販売台数はプラスもマイナスも可能性がある」。日産モーター・インドネシアの木村隆之社長は16日、今年のインドネシアの自動車販売台数についての見通しを語った。
見通しは各社横並びで、厳しい国内経済状況を表している。主な原因はルピア安による車両価格の値上げや金利の上昇だ。「インドネシアはまだまだ素材や部品を輸入に頼らざるを得ず、ルピア安は車の値上げにつながる」(本田現地法人販売担当)状況が販売にブレーキをかけている。
さらに中銀はインフレとルピア安を抑えるため、政策金利を昨年だけで1・75%引き上げた。これがローンによる購入層にとっては打撃になっている。
昨年の国内市場の販売台数は123万台で前年比10%増。4年連続で過去最高を記録したが、伸び率は24・8%の前年から大幅に鈍化した。
2013年第3四半期までの実質国内総生産(GDP)の伸び(経済成長率)は5・8%で、通年も4年ぶりに6%を割り込むことがほぼ確実。世銀は今年はさらに下がると予測している。
全体の市場としては停滞する一方で、人気のMPVや優遇税制がある低価格グリーン・カー(LCGC)は各社が戦略車を投入しており、販売台数は伸びそうだ。
日産は今年、LCGC対応車として新興国向けモデル「ダットサンGO」と「GO+」を発売する。すでにトヨタとダイハツ、ホンダ、スズキも対応車を発表した。また市場の4割以上を占める中・低価格帯MPV分野では各社が戦略車を投入。有望分野では競争激化と市場拡大が見込まれる。
またルピア安は一時的なもので「今年は我慢の年で来年には回復する」(奥江敬三マツダ・モーター・インドネシア社長)と中長期的には楽観的な見方が多く、成長は続きそうだ。
市場拡大を見据えて、各社は年間生産能力の増強を急いでいる。ホンダは15日に工場を稼働させ、8万台から20万台にした。日産は現在10万台を今年中に17万5千台にし、状況次第では25万台に引き上げる。トヨタも昨年に第2工場を稼働させるなど11万代から25万台に増やした。スズキも10万台増やして25万台とする。(堀之内健史)