銅条件を緩和、現状維持 17年まで暫定、官民が合意 12日からの鉱石禁輸
新鉱業法(2009年第4号)が定める鉱石輸出禁止が12日に実施されるのを控え、政府は8日、鉱業企業関係者らと協議し、輸出容認条件である最低含有率の引き下げに応じることを決めた。銅はこれまで含有率99%としていたが、15%へと大幅に引き下げ、産銅企業は事実上、従来通りの輸出を続けられる。政府は10日の閣議で最終的な実施規定を決定する予定。
輸出継続を可能にするための暫定措置の期間は、2017年までとする。同年以降は「輸出が認められる鉱石精製品の条件は純度(含有率)約100%とする」(スクヤル鉱物石炭総局長)としている。
エネルギー鉱物資源省は8日に鉱業事業者、産金・銅協会関係者、有識者と意見交換。この内容を受けて同日、ジェロ・エネルギー相やヒダヤット工業相らが関係閣議を開いた。
スクヤル総局長らによると、最低含有率の引き下げ対象とした鉱物は、すでに国内で加工事業が定着し、付加価値があると判断された鉱物で、具体的には銅と砂鉄。
銅は、エネ相決定(13年第20号)では最低含有率99%とされていたが、15%への引き下げで政府と業界が合意した。砂鉄は90%を58%へと条件緩和した。
産銅大手の米系フリーポート・インドネシアは現在、含有率27〜30%の鉱物を生産。同じく米系ニューモント・ヌサトゥンガラも含有率22%の鉱物を産出しており、現状のまま輸出を維持できる。
フリーポート・インドネシアのロジック・スチプト社長は、規制変更により「(輸出減どころか)今年は輸出15%増が見込める」と強気だ。
一方、事実上の輸出禁止対象のままなのは、ニッケルとボーキサイト。
ニッケル(銑鉄)の最低含有率に関しては、政府はこれまでの6%から4%に緩和したものの、業界要求の1.6%案を拒否。
ボーキサイトについても、業界が求める35〜45%案を門前払いし、加工後のアルミニウムの形状を条件としている。いずれも事実上、精製品での形でしか輸出を認めていない。
■製錬所建設は後手に
国内鉱物資源に付加価値をつけることを主眼として、政府が国内企業に対し押し進めている製錬所建設は後手に回っている。
協議に参加した商工会議所(カディン)関係者は、建設期限については詰めた話し合いをしていないと明かす。どのくらいの企業が建設を約束しているのか、その実態が不明な上、政府が製錬所建設と輸出規制をどこまでリンクさせる政策を押し進めるのか、あいまいなままだという。(前山つよし)