「飛行の自由」で協力強化 2兆円のODA拠出へ 日ASEAN特別首脳会議

 日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の特別首脳会議が14日、東京の迎賓館で開かれ、中国の東シナ海上空における防空識別圏設定を念頭に「公海上空飛行の自由と民間航空の安全を確保するための協力強化」などを盛り込んだ共同声明を採択した。安倍首相は2兆円のODA(政府開発援助)供与を表明した。 
 安倍首相は会議終了後の記者会見で「中国が設定した東シナ海防空識別圏は、国際法上の一般原則である公海上空における飛行の自由を不当に侵害するものであると考えている」と述べ、一切の措置の撤回を求めていく姿勢を説明した。フィリピンやベトナムと中国間での南シナ海領有権問題を絡め、自身が掲げる「積極的平和主義」への支持が得られたとも強調。しかし、首脳会議では中国の防空識別圏についての明確な議論はなく、声明にも直接的な文言は盛り込まれなかった。
 ユドヨノ大統領も前日の特別講演で日中関係が地域の将来にとって重要としながらも、防空識別圏には直接言及せず、一定の距離を置いている。南シナ海の問題では、中国とASEANが10月、法的強制力のある「行動規範(COC)」の策定に向けた協議継続で合意。そのため、防空識別圏の問題に関心を示す国はあるものの、「経済面での中国依存度が高い上、南シナ海の問題で中国を刺激したくない」(日本外務省幹部)という一部の国への配慮から、声明は自由と安全のための「協力強化」という穏当な表現になった。
 ODAは5年間で総額2兆円規模。インフラ整備など域内の格差縮小を目指す支援で、うち3千億円は防災体制の強化にあてる。文化交流では日本語学習支援のため3千人以上の大学生らを指導員として現地の学校に派遣する。また、2015年のASEAN経済共同体創設の支援となる日ASEAN統合基金(JAIF)に1億ドルの拠出も表明した。会議ではブルネイのボルキア国王が「日本はこの地域の平和と繁栄に大きく貢献してきた」と評価した。
 東京開催は10年ぶり2回目で、今年は日本とASEAN交流40周年の節目。ASEAN10カ国の9首脳が出席、政情不安のタイのみ副首相が代理出席した。 (東京で上野太郎)

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