円借款2200億円超も 今年度、MRTなど加速
2013年度の日本政府のインドネシア向け円借款が総額で約2200億円に達する可能性があることが12日までに分かった。近年、インドネシア政府の日本からの借り入れは数百億円程度だったが、大幅増となることで、首都圏のインフラ整備への日本企業の参入に、大きく弾みがつきそうだ。
外務省によると、11日に東京で開かれたMPA(首都圏投資促進特別地域)の閣僚級会合で、インドネシア側代表のハッタ・ラジャサ経済調整相が約1400億円のプロジェクトローンを日本側に要請、岸田文雄外相は「前向きかつ速やかに検討する」と回答した。
プロジェクトローンの対象は、ジャカルタのMRT(都市高速鉄道)南北線、同東西線、ジャワとスマトラを結ぶ送電線計画の3件。南北線と送電線計画はともに600億〜700億円前後になる見通し。東西線への円借款供与は初めてで、基本設計などの費用20億〜30億円になるとみられる。会合に出席したインドネシア政府関係者によると、来月にも関係書類をそろえ正式要請する見通し。ただ、14年度にずれ込む可能性もある。
7案件で総額600億円超のプロジェクトローンも近く署名され合意する見通し。うちMPAに含まれるのは首都圏鉄道輸送能力増強とジャカルタ下水道整備の2件。ジャワ南線複線化も含まれる。
MPA会合の合意事項は、13日に東京でのユドヨノ大統領と安倍首相の首脳会談でも議題に上る見通し。
日本とインドネシアは先月末に政策向け支援のプログラムローンとして、198億円の供与で合意しており、年度内に1400億円分の合意に達すれば総額は2200億円前後となる。インドネシア向けの円借款は、1997〜8年のアジア通貨危機以降、年間千億円余りで推移、2010年以降は外国からの借り入れを控えるインドネシア政府の方針で数百億円にとどまっていた。(東京で上野太郎)