電車とローリーが衝突 ビンタロ近くの踏切 死者5人、負傷者91人

 9日午前11時15分ごろ、南ジャカルタ・プサングラハン郡ビンタロ付近の踏切で、電車がガソリンを積んだタンクローリーに衝突、列車は脱線、横転しローリーとともに炎上した。先頭車両は黒こげになり、警視庁によると死者5人、91人が負傷した。警視庁と国家安全運輸委員会(KNKT)は事故原因の調査を始めた。日本人が巻き込まれたとの情報は入っていない。
 電車は8両編成、乗客は約200人で先頭車両は女性専用車両だった。バンテン州タンゲラン県スルポンから中央ジャカルタのタナアバンに向かっていた。ローリーは2万4千リットルのガソリンを積んでいた。電車の運転士とローリーの助手席に座っていた男性が死亡。南ジャカルタ消防局は消火と救助に全力を挙げ、負傷者は南ジャカルタのスヨト病院やプルタミナ病院に搬送された。
 国鉄子会社のKAI・コミューター・ジャボデタベック(KCJ)のエファ・チャイルニサ広報官は事故原因について、踏切の遮断機が下りるのが遅かったため、ローリーが踏切に進入してしまい衝突したと説明した。目撃者の証言では踏切直前の道路の信号が赤だったにもかかわらず、ローリーは道路と踏切を一挙に渡ろうとし信号も無視し突っ込んだという。
 日本の国土交通省から運輸省に派遣されている秋元亮一首都高速鉄道(MRT)専門家によると、日本では踏切での事故が起きやすく、①列車がある一定の距離に近づくと遮断機が下りる②踏切内に人や車が入ると障害探知機が列車に知らせる―の2段階で事故を防ぐ工夫がされている。今回の事故については「管理がずさんだったか、機械が故障していたことや、列車の接近に遮断機が連動していなかった可能性がある」と指摘している。
 首都圏では2010年に運転士が信号を見落としたため、特急列車が停車中の普通列車に追突する事故を起こし、乗客34人が死亡した。国鉄はインフラ整備や安全対策を強化していた。(高橋佳久、田村隼哉)   

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