北スマトラで農業支援 農産物の輸出拡大狙う 茨城県鉾田市
日本の地方自治体の農業支援がインドネシアで増えている。茨城県鉾田(ほこた)市は2日、北スマトラ州北タパヌリ県の農業を支援する事業「官民連携による市場志向型農業振興プロジェクト」が国際協力機構(JICA)により採択された。来年1月にも支援を開始する。同市の農業者の海外進出や農産物の輸出も視野に入れている。
同事業は鉾田市がJICAに提案し内定を得た。事業費は6千万円以内で、政府開発援助費(ODA)から拠出される。実施期間は2016年まで。同事業では堆肥から栽培、生産管理、加工、流通、販売までの全工程で支援する。農業を基幹産業として成長させ、雇用創出の機会の拡大を狙う。
タパヌリ県は焼き畑農業が中心。土壌改良を求める声が高まっており、パームヤシの搾りかすを堆肥として活用し土作りに注力する方針だ。茨城大学農学部の研究者も協力する。
さらに、鉾田市の農家が特産物のサツマイモの栽培を指南し、普及を図る。タパヌリ県の土質が火山灰土なので、栽培に適しているという。将来的にはイチゴやメロンの栽培指導も検討する。
収穫した農産物は加工販売する。市内の食品企業やJAで構成される「産地ブランドアップ振興協議会」が加工品開発や流通・販売網の構築の面で支援する。日本への研修生の受け入れや加工品の展示会の開催などで後押し。市内の企業が現地法人を設立する計画もある。
■日本の自治体、農業支援に活路
鉾田市の担当者が今年1月に同県を訪問した際、知事から農業分野での支援要請を受けた。基幹産業は農業。だが、担い手の高齢化が進み後継者問題に直面し、振興策を模索していた。
広報担当者は「日本国内の市場は成長性が低く、東南アジアに農業技術を提供し市の知名度を向上させる。インドネシアから販売ルートを整備し鉾田の農産物や加工品を供給していく」と力を込める。
岡山県新庄村は人口900人が、2月、南スラウェシ州マカッサルのハサヌディン大学と米、野菜の有機農業支援に関する協定を締結。アイガモなどを使った有機農法のノウハウを普及させ、将来はマカッサルからインドネシア各地へ供給することも検討している。
JICAのインドネシアに対する自治体支援事業としては、香川県が西スマトラ州で稲作支援を、山形県はパプア州で水稲の栽培支援を展開している。