後手に回る住宅供給 政策維持が課題
首都圏の住宅不足は深刻な問題の一つだ。住宅供給不足が1500万戸まで増えているが、近年不動産価格も高騰し、対策が追い付いていない。
インドネシアではスハルト政権時代から低所得者向け住宅供給策として、高級住宅1戸につき、中級住宅3戸、安価な住宅6戸の建設を不動産業者に義務づける「1・3・6規制」を実施。しかし、同政権崩壊後、規制は形骸化し、不動産業者は郊外に大型ニュータウンの開発とともに高級住宅の販売を進めた結果、安価な住宅の供給は不足した。
ユドヨノ政権後にはその状況の打開を図ろうと、ユスフ・カラ副大統領(当時)が2008年、12年までに低所得者向け集合住宅を全国で千棟(約60万戸)建設する計画を開始した。首都圏には600棟ほどを建設する計画で、規制緩和を実施し、民間の参入を促進したが運営や維持の面が問題になっている。
ジャカルタ特別州のジョコウィ知事も目玉政策として集合住宅の建設を進めている。インドネシアの不動産産業や開発を研究している共愛学園前橋国際大学の新井健一郎准教授は「個別ではなく2、3カ所に大規模の集合住宅地を作ろうとしたことはポジティブに受け止められる。しかし実施には数年かかり、ジョコウィ知事もいつまで政策を推進できるかはわからない」と実現を不安視する。(高橋佳久)