東ティモールにもお巡りさんを ブカシで交番制度学ぶ JICAの警察支援
国際協力機構(JICA)による警察改革支援で、交番制度など日本式の地域警察官の育成を図っているインドネシア警視庁で、東ティモールの警察官が17日から1週間の研修を受けている。同国は2002年の独立以降、治安状況が徐々に改善。さらなる安定化には、地域住民との協力や信頼関係の構築が重要で、同国より早く地域警察官育成を始めたインドネシアの事例を見聞きするのが狙い。住民への安全情報の提供や意見を聞く巡回連絡などの体験を通じ、地域との連携のありかたを学んだ。
東ティモール警察は2008年度から、JICAの短期専門家派遣や日本での研修を通じ、地域警察制度の確立を目指している。一方のインドネシアは10年以上前から日本式地域警察官の育成を柱とした技術移転を開始。巡回連絡で家庭内の異変の発覚や、住民からの素早い通報で事件の早期解決につながるなど、一定の成果を出している。東ティモール側は成功事例を学び、インドネシア側にとっても自分たちの活動の意義を再確認する機会になりそうだ。
研修には、30〜40代の東ティモール警察官が参加。警視庁ブカシ県、ブカシ市両署管内の交番や駐在所員から、業務の内容などの説明を受けるとともに、地域の民家や学校に出かけ、実際の巡回連絡を経験した。
20日に東ブカシ分署のウバイディラ駐在所員の受け持ち地区を巡った東ティモール警察のボアフィダ・リベイロ、リノ・ダ・シルバ・ピント両警察官は、ネット上の犯罪やポルノなどに関する注意喚起のための高校での防犯教室や、集落の訪問を体験。駐在所員が頻繁に巡回していることや、住民が気軽にあいさつを交わす様子などに感心していた。
インドネシア警察改革では、ブカシ県をモデル地区として、県内の警察署で交番などを導入。最近では、他の地区の警察から研修生を受け入れるなど、地域警察官の全国的な普及に向けた拠点になっている。(道下健弘)