若手の知日派育成を 経産省がシンポジウム
将来の日イ関係促進を見据え、交流を活発化しようと、経済産業省主催の知日派育成シンポジウムが21日、中央ジャカルタのホテルであり、元日本留学生ら約100人が出席した。
インドネシア日本友好協会(PPIJ)のラフマット・ゴーベル会長、日本大使館の島田順二公使のあいさつの後、東海大学に留学経験がある科学技術評価応用庁(BPPT)のマルザン・イスカンダル長官が基調講演。1988年4月にBPPTからの派遣で日本に渡り、93年に博士号を修得するまでの経験を紹介した。
その後、日本の若手経営者がどのような思いでインドネシアでの事業に携わっているかを知ってもらおうと、アドウェイズ・インドネシアの高野勇斗社長と、ラーメン38など20店舗超のレストランを経営する大世グループの竹谷大世CEO(最高経営責任者)が「私がインドネシアから学んだもの」をテーマに講演した。
高野氏は、インドネシア事業を始めたいきさつや、会社の規則を紹介した。フランス人やインド人社員もおり、国籍や民族、宗教などでの差別はまったくないとした上で、1カ月の無遅刻無欠勤者には交通費に相当する50万ルピアを支給する皆勤賞制度を設けるなど、社員が働きやすい職場環境の構築の大切さを強調。ITを通じて、インドネシアの貧困撲滅や情報ギャップの解消を目指したいと意気込みを示した。
ジャカルタ生まれの竹谷氏は「インドネシア人から見習うようにしているのは『楽観』。ミーティングでも冗談が絶えず、ユーモアは世界一ではないか。思いやりとやさしさがユーモアにつながっているのではないかと思っている」と指摘。「外国人がこの国で生活させてもらい、いろいろ迷惑を掛けることもあるかもしれないが、感謝の気持ちを忘れず、共存していきたいと思っている」と話し、「第二の祖国で骨を埋める覚悟」と締めくくると会場から大きな拍手が上がった。
講演後は、政府・学術関係と民間の二つの分科会で意見交換。夜には懇親会も開かれた。(上野太郎、写真も)