884河川、30年放置 首都、浚渫急ピッチ

 「ジャカルタ州内の884の河川が約30年浚渫されていない」。ジョコウィ知事は18日、河川に積もった土砂を取り除く浚渫が洪水被害軽減には不可欠との認識を示し、担当部署にハッパを掛けた。州は急ピッチで工事を進めているが予算などの問題もあり、今シーズンの洪水には間に合わない。
 知事が視察した南ジャカルタ・クバヨランバルの住宅街、プロ・ラヤ通り。大通りから入ると急な下り坂になっており、豪雨があれば水が流れ込む洪水頻発地帯だ。
 同地区を流れる幅3メートルほどのニパ川も工事が着工していなかったが、州は11月中旬から浚渫に着手。川の回りには袋に詰められた泥やごみが積まれていた。
 プロ・ラヤ通りに隣接するカンプン・サワに住むオジェック(バイクタクシー)運転手のルディさん(43)の家屋は毎年浸水する。2007年の大洪水時には深さ2メートルの水が襲い、義母を失った。雨が降り始めれば家財道具を2階に「避難」させるのが恒例だ。
 現在、治水対策の一つとして地区の通りの両側では側溝整備が続けられている。流れ込んだ水をニパ川などに逃がすためのものだ。100メートルほど土やコンクリートが山積みにさなっていた。「片付けは後。先に溝を完成させろ」との指示が出ているという。
 洪水が頻発する時期が目前に迫り、ルディさんは「浚渫や側溝の整備で少しは被害軽減はされるだろうが、地区へ流入する大量の水は阻止できない」とあきらめ顔だった。
 11月13日の大雨では南ジャカルタで冠水する地域もあり、ウルジャミ郡では150人が避難した。
 州担当者によると、884の河川のうち、160の浚渫は年内に終える。州は来年予算で数十台の重機を購入し、残りは来年になるという。(堀之内健史、写真も)

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