森の民の生活描く 教育、自然保護も訴える リリ監督の新作 「ソコラ・リンバ」 きょう封切り
「ラスカル・プランギ(虹の兵士たち)」などのヒット作を出し、昨年の東京国際映画祭で3作品が上映されるなど、国内外で評価が高いリリ・リザ監督の新作映画「ソコラ・リンバ(森の学校)」が21日からジャカルタなど各都市で公開される。
辺境地の教育活動に従事するブテット・マヌルンさん(41)が主人公。さまざまな困難に直面しながら、ジャンビ州のブキット・ドゥアブラス国立公園内のジャングルで昔ながらの生活を送る「森の民」に文字の読み書きなどを教える生き様を描いた。
ブテットさん自身が書いた同名のノンフィクションにリリ監督やミラ・レスマナ・プロデューサーが関心を持ち、映画化が実現。実際に森の中で暮らす少年たちもキャストとして登場し、重要な役割を果たしている。
ブテットさんを演じるのは、「サン・プナリ(踊り子)」で頭角を現したプリシア・ナスティオンさん(29)。日イ初の合作テレビドラマ「愛してる」で日本語に挑戦したのに続き、本作では現地の人たちが使う「森の言葉」を使いこなした。
アブラヤシ農園の開発拡大が居住区を脅かす中、森を守ることや教育を受けることの大切さといったメッセージを盛り込み、観客に多くのことを考えさせる作品となっている。
事前準備で3回現地を訪れ、撮影で15日間現地に滞在したリリ監督は「(近代化が進む)時代に多くの人が知るべき大切な話だ。インドネシアには多様な生き方があり、映画で伝えるような生活をしている人がいる。われわれは彼らから学ぶことがたくさんある」と話した。
ブテットさんは「森の民や、そのほかのインドネシアの辺境の地で伝統的な慣習に基づいて生活する人々の努力を知ってもらうきっかけになれば」と話している。
上映時間は90分。中央ジャカルタのプラザ・スナヤンにある劇場では英語字幕付きの上映となる。(上野太郎)
◇ストーリー
2000年代初頭、ブテット・マヌルンは、自然保護のNGO(非政府組織)に所属し、国立公園内の森の中に住む人々に文字の読み書きを教えてきた。
開発の足音が森の民に忍び寄る中、森の民に寄り添い、活動を続けるブテット。森の中でマラリアにかかり、倒れていたのを助けてくれた青年ニョンソン・ブンゴとの出会いをきっかけに、自分が何をしていくべきかに気付く。