森林破壊、世界最速 衛星画像にくっきり 米研究者ら発表 イ政府は否定

 2000〜12年の間に伐採などによる世界の森林破壊が、インドネシアで最も速く進んだとする研究結果を、米研究者らが15日付の米科学誌サイエンスに発表した。インドネシア政府は、森林破壊の規模が研究結果より小さいとする政府記録を挙げ、否定している。
 米メリーランド大などの研究者が、インターネット検索大手のグーグルと協力。期間中に撮影された約65万枚の衛星画像をもとに世界の森林面積の変化をインターネット上の地図にまとめた。「(森林面積の)減少・現状維持・増加」や「森林の増加面積」などの項目ごとに色分けして表示した。毎年更新され、森林管理計画の評価に役立つと期待されているという。
 研究によると、インドネシアで00〜03年に森林の減少面積は年平均100万ヘクタールだったが、11〜12年には同200万ヘクタールに増え、急速に減少していることが浮き彫りになった。00〜12年で減少面積は計1580万ヘクタールに上った。
 ユドヨノ大統領は11年に天然林・泥炭地の開発禁止を定めた森林開発の凍結措置(モラトリアム)を実施したが、森林破壊が実際には加速したことが明らかになった。
 この研究結果について、林業省のハディ・ダルヤント事務次官は15日、「伐採後に再緑化される産業用林(HTI)などを考慮せず、不正確だ。実際の減少面積は年45万ヘクタールにとどまる」と反論。モラトリアムや01年の丸太の輸出禁止導入が、96〜03年に年平均350万ヘクタールだった森林破壊を大きく減らしたと主張した。またモラトリアムの効果を評価する報告書を、インドネシア地理空間情報局(BIG)が来年1月に発表するとしている。
 森林減少・劣化の防止による温室効果ガスの削減(REDDプラス)に取り組む、国連インドネシアREDD+調整事務所の久保英之課題アドバイザリーユニット長によると、森林減少の現状調査には、衛星画像は極めて客観的で有効な方法。産業林の扱いなど、森林の定義の違いが、研究とインドネシア政府の見解の違いの原因ではないかとしている。
 森林破壊の原因も変化している。00年初頭は木材伐採が主な原因だったが、現在はパーム油やパルプ材のためのプランテーション開発が主だ。林業省のみで解決できる問題ではないという。
 久保氏は、森林破壊の問題解決は次期大統領の意向が鍵になると指摘。大統領の主導で各省庁を調整し、森林破壊防止支援に取り組むことが重要だと強調した。
 研究によると、00〜12年の間に世界で8千万ヘクタールの森林が増加したが、同時に2億3千万ヘクタールが失われた。日本の総面積の約4倍に相当する面積の森林が減少したことになる。
 森林減少面積はロシア、ブラジル、米国、カナダ、インドネシアの順に大きかった。また、マレーシアやパラグアイ、カンボジア、ボリビア、ザンビアも、インドネシアに並ぶ急速な森林減少を記録した。
 地図はインターネット上(http://earthenginepartners.appspot.com/science-2013-global-forest)で閲覧できる。(宮平麻里子)

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