「日本の技術に学んで」 留学活性化に意欲 教育文化省高等教育総局長 ジョコ・サントソ氏

 日本に留学するインドネシアの学生が増えている。昨年は11年比114人増の2276人だった。日本で地震学を学んだ元留学生でもある教育文化省のジョコ・サントソ高等教育総局長(60)に、インドネシアの大学教育や留学事情について話を聞いた。

―日本の教育に期待することは。
 第二次世界大戦後、日本は焼け野原から経済大国へと成長した。日本の高等教育も高度な発展を遂げ、科学技術分野を筆頭に社会科学分野の研究業績も世界レベルだと感じている。研究機関や大学で学生への指導環境も整備されている。中長期的に両国の友好関係を深め、留学生派遣を活性化させたい。
―日本留学の魅力は何か。
 1978年から1年間、東京大学の地震研究所に留学していた。当時の研究所には最新のコンピューターがあり、観測方法を一から学ぶことができ、研究者としての基礎を磨いた。
 地震大国の日本で蓄積された研究情報は膨大で役立った。大学までは八王子市から毎日オレンジ色の電車(中央線)で通学した。インドネシア人留学生は少なかったが、日本人の友人に暖かく迎え入れてもらったことが印象に残っている。
―日本に留学する学生の数は増えていくか。
 教育文化省では高等教育機関で海外の修士号と博士号を取得する教授陣が不足しており、毎年多くの留学生を海外に送り出している。日本だけでなく、北米や欧州、アジア諸国への留学も後押しする。留学生数の約3割ほどが日本へ留学し、特に科学技術分野を専攻する者が多い。日本の技術から学ぶことは多い。
 両国の大学の交流は長い歴史があり、日本留学経験者も多く在籍している。彼らが日本留学を教え子に勧めることで学生数は増えていくと思う。
―両国の大学機関の関係を強化するには。
 日本の大学はインドネシア大学(UI)やバンドン工科大学(ITB)など主要な大学との協力関係を構築している。だが、地方の大学との連携はあまり進んでいない。地方にも日本留学経験者がいる大学や優秀な研究業績を持つ大学がたくさんある。日本の大学と提携すればさまざまな相乗効果が生まれるだろう。
―日系企業とインドネシアの大学の産学連携をどう促進するか。
 ITBで学長を務めていたとき、日系企業とITBの研究室が協同で研究することもあった。多くの日系企業がインドネシアへ進出してきており、産学連携の促進で双方に利益が生まれる。
                                    (小塩航大、写真も)

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