バンドン情報サイト立ち上げ 大学講師の釜我さんとイ人学生 日本語で魅力発信
「バンドンの魅力を日本人に知ってほしい」。西ジャワ州バンドンのマラナタ大学で講師を務める釜我昌武さん(31)とインドネシア人学生らはこのほど、バンドンの日本語紹介サイト「バンドン・ポータル」を立ち上げた。
2011年9月に日本の大手メーカーを退職し、12年2月からバンドンで新生活をスタートした釜我さん。今年8月、インドネシア人学生たちと「バンドンに関する日本語情報が少ない」と話していたとき、日本人のためのバンドン情報を発信したいという学生たちの思いに共感し、「バンドン・ポータル」の立ち上げを決めた。
サイトでは食事やビザ取得に関する情報だけでなく、日本人には乗る機会が少ない市民の公共交通機関「アンコット」の乗り方も写真付きで紹介。バンドンで使用されるスンダ語を学べる講座を設けた。
コンテンツは学生からの「日本人に伝えたいバンドンの魅力」に関する提案を基に制作した。主に学生が情報を集めて執筆し、釜我さんが日本語表現などで支援している。文章から写真の配置まで日本人が見て分かりやすいよう工夫を凝らしている。
釜我さんはバンドンを日本人に知ってもらうだけでなく、制作に関わるインドネシア人にもバンドンの魅力を発見する場にしたいと話す。
「優秀なインドネシア人学生とともに面白いコンテンツを提供することが目標だ」と力を込める。
今後はバンドンの街を日本語の動画で案内したり、スンダ地方に伝わる民話を紹介したりするなどさまざまなコンテンツで魅力を発信していく。インドネシア人学生が情報をより多く発信できるよう、インドネシア語での発信も視野に入れる。
9月には「バンドンへようこそ!」と題し、バンドン情報を集めた冊子も製作した。バンドンに来た日本人には「留学費用や下宿情報が載っていて役立つ」と好評を得ている。
釜我さんは大学と大学院で電気電子工学を専攻し、大手メーカーに就職。順風満帆な人生を送っていた。だが、「環境を変え、生き方を見つめ直す機会がほしい」と一念発起。会社を退社し、4カ月間東南アジアを周る旅に出て、立ち寄ったインドネシアでバンドンという街に出会った。
「バンドンは若者の活気が溢れ、自由な雰囲気に包まれていた」と釜我さん。インドネシアの旅でスラバヤなど多くの都市を探訪したが、バンドンの魅力が忘れられず移住を決意した。
12年2月から約1年間、バンドンの国立パジャジャラン大学のインドネシア語コース(BIPA)に通いインドネシア語を習得した。さらに長期滞在するため、市内の大学を中心に飛び込みで就職活動。マラナタ大学で電気電子工学の客員講師の仕事を得た。
「バンドンは僕の大切な『故郷』。今後も仕事を続けながら情報発信に力を注いでいき、新しいことに挑戦していく」と意気込んでいる。 (小塩航大、写真も)