日ASEAN、歌舞伎で舞う 5カ国の舞踊家共演 国際交流基金
国際交流基金は9、10日の2日間、日・ASEAN友好協力40周年事業として、中央ジャカルタ・チキニにある文化施設タマン・イスマイル・マルズキ(TIM)内の芸術ホール「テアトル・ジャカルタ」で、国際舞踊公演「MAU(舞う)」を開催した。400年以上の歴史を持つ歌舞伎の演出技法を用い、インドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、日本の5カ国の伝統舞踊家・演奏家がそれぞれの舞を披露。しなやかな踊りや情熱的なダンスなど、代わる代わるスポットライトを当て、観客たちを魅了した。
舞台は3部構成。構成を手掛けた歌舞伎舞踊家の藤間流八世宗家・藤間勘十郎氏は、舞踊や演奏など基本的な部分は各国独自の表現に委ね、全体の演出に歌舞伎の技法を散りばめたという。
最終場面の第3部は各国の舞踊家が協力して、歌舞伎に登場する敵役に立ち向かう物語。敵が倒れる最高潮の場面では会場がどよめき、拍手が沸き起こった。
インドネシアからは1968年にジャカルタで設立、世界各国で1500回を超える公演を行ってきたバリ伝統舞踊グループ、バリ芸術協会(LBK)サラスワティのダンサー5人が参加。他にはマレーシア6人、フィリピン4人、シンガポール4人、日本6人の計25人が出演した。
来場者のウィタ・ヌギエタ・アザラさん(24)は「日本の舞踊は肌を全く出していないのにとてもセクシー」と初めて見る歌舞伎舞踊に心を奪われた様子。「自国や近隣の国の舞踊も改めて比較できた。それぞれの文化を大切にしていきたい」と話した。
同公演は日・ASEAN友好協力40周年事業の一つ。今後フィリピン、マレーシア、シンガポールで巡回公演する。(高越咲希)