中高教室に監視カメラ 「不道徳な行為」発覚で検討 ジャカルタ特別州
ジャカルタ特別州は州内の全ての国立中学・高校の教室への監視カメラ設置を検討している。校内での「不道徳な行為」が次々と明らかになっていることへの対応。教育相はカンニングなど不正行為の防止にも役立つと評価しているが、過度な監視として、批判も上がりそうだ。
タウフィック・ユディ教育局長が2日、全校への監視カメラ導入を明らかにした。州教育局は、教師による生徒へのわいせつ行為や生徒間の性行為など「校内での望ましくない事例」が多く明らかになっているためと説明した。アホック副知事も支持しており、監視カメラ設置の予算は早ければ来年にも盛り込まれるという。
ムハンマド・ヌー教育文化相も州の方針に支持を表明し、教室に監視カメラを設置すれば、カンニングなど生徒の不正行為の監視や防止に役立つとしている。
国家児童保護委員会(KPAI)には10月までに生徒のポルノ画像や映像の所持、学校での性行為などが84件報告されている。昨年より増えており、要因として?携帯電話の普及でポルノ画像・動画を閲覧しやすくなった?保護者の監視外で行動することが増えた?保護者と学校が性教育をしていない―ことを挙げた。
西ジャカルタ区では2011年以降、独自に監視カメラの導入を進めてきた。区内の高校17校、職業訓練高校9校の全校校庭に監視カメラがあり、うち9校は教室内にも設置。国立第65高校は計25台を完備し、オートバイで通学する生徒の安全確認やヘルメットなどの盗難、校舎・教室内での校則違反の防止に利用している。
映像記録から、学校備品に火を付けた者を突き止めたことがあるほか、教師の職務態度の確認にも活用し、授業中にいなくなった教師に懲戒処分を下したこともあるという。
生徒監視のためのカメラ導入には慎重な声もある。KPAI幹部のムハンマド・イッサン氏は取材に対し、「監視カメラの設置は問題解決にはならない」と否定的だ。カメラを設置しても監視をすり抜けることはできるほか、生徒を萎縮させることにもなると指摘、「州は性教育に力を注ぐべきだ」と強調した。
州教育委員会のジョニー・シマンジュンタック氏は支持するが「(問題解決の)特効薬ではなく、学生の倫理観を保つことが重要」との認識を示した。
今回の生徒監視の議論は、州内の中学校の男女生徒2人が教室で性行為する映像がインターネットで広まり、女子生徒の保護者が通報、警察が捜査を開始したことが発端。
また東ジャカルタ区の中学では先月、イスラムの授業担当の男性教師(54)が教え子の女子生徒(15)を妊娠、出産させたことが発覚。同区の男性の算数教師が12歳の女子生徒を含む複数の教え子に6年間以上、わいせつな行為をしていたことも分かった。これらの事例を受け、州は性教育を導入する方針を示している。(堀之内健史)