労組側が圧力強める あす20州で一斉スト
来年1月1日に改定される2014年最低賃金の策定に向けて、労働者側が動きを活発化している。地方自治体による最賃決定期限の11月初旬に合わせ、労組側は大幅引き上げを実現させるよう圧力を強めている。
中央政府が決定していた最低賃金の権限は地方分権化に伴い00年、地方行政に移管。州の最賃は60日前の11月初旬、県・市最賃は40日前までに決定する。
インドネシア労働組合総連合(KSPI)は28日、31日と来月1日に全国20州200県・市で約300万人を動員するストライキを実施すると発表。労組側は最賃の50%引き上げや派遣・請負労働(アウトソーシング)の禁止、健康保険制度の拡充を要求している。
ユドヨノ大統領が9月に署名した最賃の上げ幅を10%以内と定めた大統領通達も、労組側の反発に拍車を掛けた。ユドヨノ大統領やムハイミン・イスカンダル労働移住相はストライキは経済活動を停滞させるとして、ストの回避を求めた。労相は「労働問題は協議を通じて解決すべき」と呼び掛けている。
最賃の引き上げを早々と公表する地方自治体も出てきた。東南スラウェシ州は26日、14年の最賃を13年比25%増の160万ルピアに引き上げると発表。ジャンビ州も29日、同15.67%増の150万ルピアへの引き上げを決めた。同州の担当者は政労使の三者協議の提言を検討した結果の値上げだとしているが、大統領令で定めた幅を超えた。
一方、北スマトラ州のガトット・プジョ・ヌグロホ州知事は29日、「来月1日、大統領通達の値上げ幅の範囲内で最賃を引き上げる」と話した。
最賃の大幅引き上げが各地に波及する可能性があり、日系企業にも影響を与えそうだ。リアウ諸島州バタム島では最賃の上昇を一要因として、太陽光機(本社・長崎県大村市)が9月に撤退し、本社が倒産。金属労連(FSPMI)は14年の同市最賃について、330万ルピアに引き上げるよう要求している。(小塩航大)