地方大学が熱視線 「官民で学生支援」アピール 日本留学フェア
インドネシア人学生へ日本留学に関する情報を提供するため、第20回日本留学フェアが(主催・日本学生支援機構=JASSO、インドネシア元日本留学生協会=プルサダ)が26日に東ジャワ州スラバヤのシェラトン・ホテル・スラバヤで、27日に中央ジャカルタのジャカルタ・コンベンションセンター(JCC)で開かれた。今年の参加機関数は47から68へと急増。親日国から留学生を誘致しようと、地方大学などが熱視線を注いでいる。
留学フェアには大学44校、高等専門学校1校、専門学校・日本語学校23校が参加した。後援は在インドネシア日本大使館、在スラバヤ日本総領事館、共催は国際交流基金ジャカルタ日本文化センター。
プルサダのラフマッド・ゴーベル会長は開会式で「自動車などのほか、食品など新しい分野での日系企業進出も相次いでいる」と指摘し、学問だけでなく、日本で人づくりや物づくりの文化を学んでほしいと学生たちに呼びかけた。
参加校が増えた会場は各校のブースが手狭となったが、高校生や大学生、親子連れなどが詰め掛けた。ジャカルタ国立大学に通うアディックさんは「参加機関の多さに驚いた。生活費や奨学金の情報も得られたので、留学を検討する際に役立つ」と話した。
■留学生の多様化
地方から初参加の大学も相次いだ。留学フェアに初めて参加した信州大(長野県)は留学生の多様化に力を注ぐ。同大経済学部の美甘信吾教授は「インドネシアを含む東南アジア地域の留学生を増やしたい。東京などと比べ、地方の生活費の安さなどの魅力をアピールしている」と語った。
熊本からは崇城大が初出展。同大に150人いる留学生のうち東南アジアはベトナムのみで、初のインドネシア人獲得を目指す。日本語別科を持つ明海大(千葉県)や、「ハローキティのデザイナーは本校の卒業生」とポスターを掲げた女子美術大(神奈川県)など、初参加組は説明にも力が入った。
■バイトもビザも
大学のコンソーシアムが出展するのも初めて。大阪大、関西大、関西学院大、神戸大の4大で構成する「阪神地区大学国際化推進ネットワーク」は、今年から英語で履修できる教養課程の授業を大学間で共有する試みに着手。テレビ会議で双方向のやり取りが可能になった。阪大大学院の竹中亨教授は、今後の展望として「受講科目を増やしていく。留学生と日本の学生が机を並べることが真の国際化だ」と強調する。
官民や市民団体などが協力し、留学生支援体制を整備する取り組みも活発化している。福岡県留学生サポートセンターは2008年、県内の商工会議所や大学、自治体が一体となって設置。中国や東南アジアを中心に留学説明会を開催し、県内大学の広報活動を支援する。留学生にはアルバイトの相談から就職サポートまで幅広く支援する体制を整えている。
同センターの初山宏事務局次長は「留学生を起爆剤に福岡を国際都市に成長させる。留学生誘致で県内の経済や社会を活性化させたい」と力を込める。九州大医学部に留学していたディアン・ウィディヤンティさんは「同センターを通じて、礼拝所やハラル食(イスラムの教義に沿った食べ物)の情報を入手できた」と振り返る。
大分県では04年、県内大学が中心となって特定非営利法人(NPO)「大学コンソーシアムおおいた」を設立。留学生への奨学金制度やアパート賃貸に必要な身元保証人制度を整備している。さらに地域住民との交流を深めようと、留学生による語学教室など交流イベントを開催しているという。(小塩航大、写真も)