日本大手4社出そろう 中間層、イスラム圏に注力 生保市場が活況
インドネシア市場に日本の大手生命保険4社が出そろった。日本の生保市場の成長が伸び悩む一方、インドネシアでは世界第4位の人口、生産年齢人口の比率が高い「人口ボーナス」などの好条件が整っているとして、相次いで参入した。経済成長を背景に、年15%成長といわれる同国の保険市場に活路を見出だそうとしている。
第一生命はこのほど、地場生保パニンライフの株式40%を3.3兆ルピア(約300億円)で取得し、関連会社化すると発表。インドネシア市場の需要取り込みを図る。パニンライフは国内12位で、収入保険料は230億円(2012年度)。銀行窓口で商品を販売する第一生命の手法を生かし販路を拡大する。イスラムの規範に則した保険「タカフル」の免許も保有しており、他のイスラム圏への進出も視野に入れている。
他社もインドネシア進出を加速させている。三井住友海上火災は11年5月、7兆ルピアを出資し生保3位(当時)のシナールマス生命の株式50%を取得し、生保事業に進出した。合弁のシナールマスMSIG生命は8月、急拡大する中間層の需要に対応するため、販売代理人向けの研修施設スマイル・アカデミーを開設した。
これまで富裕層を中心に商品を販売してきたが、中間層を取り込む方針だ。代理店ネットワーク構築や組織作り、人材トレーニングなどを進めている。
だが、課題も山積だ。シナールマスMSIG生命の小柳浩文取締役は、インドネシアの生保業界では対GDP(国内総生産)収入保険料比率が約1%で、日本(約8%)と比べて低く、普及率の引き上げが重要と説く。
また、従来は地域の相互扶助が浸透し保険加入の必要性は低かったが、都市化で単身世帯が増加しているため、新たな社会保障の構築が求められるという。「生保に加入して安心してもらえる環境を整備し、万一の場合に備える大切さを代理人とともに訴えていく」と力を込めた。
東京海上ホールディングスは昨年3月、地場のMAAライフ・アシュランスを買収、株80%を取得した。明治安田生命は昨年9月、地場のアブリスト・アシュランを関連会社化。出資比率を5%から23%に引き上げ、役員を派遣し保険市場の開拓を図っている。(小塩航大)