【火焔樹】おそうじの時間
小学校時代の道徳の時間。良い子の発言 「先生、芦田君がおそうじさぼりました。良くないと思います」▽先生「芦田! 本当か!」▽芦田「ばれちゃしょうがねぇや‥」▽先生「廊下に立ってなさい!」
今思い起こせば良き思い出だ。学校でそうじをする体験がきっと、知らず知らずのうちに自分の周りだけでもきれいにしようという習慣が身についた原点だと思う。まさに日本の学校が世界に誇る良い点だ。
インドネシアの学校には、おそうじの時間がない。専門にそうじをする人がいて、生徒が汚した教室も、トイレも、校庭も、みんな人任せにする。これが何の衒い(てらい)もなく、堂々とごみをポイ捨てする理由の一つだろう。
そのような認識を踏まえ、ジャカルタお掃除クラブは、新たな活動の一環としてインドネシアの小学校を訪問し、学校におそうじの時間を定着させるべく活動を開始します。現在の小学校1年生が開始すれば、高校を卒業するまでの12年間毎日おそうじをすることになり、こんな習慣が必ず将来のインドネシアの人々の意識の変化に大きく役に立つと信じて‥。
環境、環境と偉そうに言っていても、専門家ならいざ知らず、どれだけの普通の日本人が環境の意義や意味を明確に即答できるだろうか。私だってその一人だ。これは日本人が環境について無知と言っているのではない。多くの日本人が行っているのは、「ごみはごみ箱へ」「ちらかさない」「整理整頓」「自分の街は、自分の学校は、自分できれいにしよう」ということ。これが積み重なり、人に迷惑をかけない意識が芽生え、見事な環境が成立しているのだと思う。本当にシンプルなことなのだ。少なくとも、その原点が小学校のおそうじの時間にあるならば、日本が誇る習慣を体験したインドネシア人として、インドネシアの学校に紹介していくことを新たな活動の柱の一つにしたい。
1年半前に、このコラムでお掃除クラブへの参加を呼び掛け、インドネシア人、日本人合わせて延べ300人近くが活動に参加してくれた。多くのインドネシアのメディアの取材を受け、認知度も上がってきていることも実感する。そんな中、新たなステップとしてみなさんと一緒に行動したい。活動に興味のある方、私(メールts_ashida@yahoo.co.jp携帯08111・801801)まで連絡を。(ジャカルタお掃除クラブ代表・芦田洸=ツヨシ・デワント・バックリー)