改革の弾みになるか 14年議長国にミャンマー ASEANの大きな挑戦

 軍政から民政へ移行し、政治・経済両面で開放路線に大きく方向転換したミャンマーが来年、ASEAN加盟から17年を経て初めて議長国に就く。2015年末までに予定される経済共同体(AEC)発足前夜の難しい舵取り役を担う。重責をさらなる改革の促進剤にすることができるか。同国だけでなく、民主化を支援してきたASEANにとっても大きな挑戦になりそうだ。
 テイン・セイン大統領は一連の会議最終日の10日、現議長のボルキア・ブルネイ国王から、木槌を引き継ぐと「ミャンマーはASEANの一員として、責任ある行動を取り続ける」と決意を述べた。大統領は会期中、8カ国の首脳や閣僚と会談して存在感を発揮。いずれの国からも経済開発などでの支援の約束を取り付けた。
 会議のホスト国となれば当然、各国の首脳や各国代表団、報道陣の訪問を受ける。政治制度に加え、国内の物理的・制度的インフラ構築など受け入れ態勢の構築が急務だ。
 「議長は時期尚早」との見方を打ち消すように同国は会議直前の8日、政治犯56人を釈放して民主化進展をアピールしたが、足元では少数派でムスリムのロヒンギャ族への襲撃が相次ぐなど楽観できる状態ではない。この1年間の住民衝突で150人以上が死亡し、15万人が元の住居を離れたとされ、「国民和解」が大きな課題になっている。15年の大統領選を前に、民主化の深化も問われる。
 米国のケリー国務長官は9日、バンダルスリブガワンであった若者とのフォーラムで「(ミャンマーの民主化は)とても刺激的だが、まだ不十分だ」と釘を刺した。国連の潘基文事務総長もASEAN国連サミット後の会見で、「民主制への移行で目覚ましい成果をみせたが、住民間の対立の解決など依然としてある多くの課題に懸念を抱いている」と指摘した。
 ASEANは1997年、欧米の批判を受けながらもミャンマーの加盟を認めるなど、同国の民主化や国際社会への復帰を後押ししてきた経緯がある。インドネシアのマルティ外相はミャンマーの議長国就任が、「確実に改革を続けるための大きな弾みになる」と期待。フィリピンのラモン・カランダン大統領報道官も「国際社会が現時点でできる最良の行動は、ミャンマーが改革を継続するよう励ますことだ」として、議長国ミャンマーを支援していく方針を示している。(道下健弘)

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